中退しても即戦力で就職した男が語るドロップアウト後に大切な4つの教訓

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あなたはドロップアウトした経験はありますか?

高校や大学を中退する、就職した会社を辞める、脱サラするなど
いわゆる既存のレールから外れる、脱落するという選択をすることです。

学校があなたにとってどうしても合わないから中退する、就職した会社で競争に負けた、職場が合わないから退職する。
などなど、ドロップアウトする理由は様々です。

あなたも何らかの理由でドロップアウトしてしまう日が来たら…どうでしょうか?
次の仕事が見つかるのか、良い職場に出会えるのか不安になるでしょう。

しかしそんな状況にも関わらず、あなたが望む輝く世界に即戦力としてあなたが就職・採用されたら…
これほど素晴らしい人生の逆転劇はないのではないでしょうか。

会社や学校も千差万別。今あなたの肌に合わないならば、ドロップアウトしてもよいのです。

ただ、闇雲にドロップアウトしても人生の方向性を見失ってしまうだけです。
ではドロップアウトしても再びあなたが即戦力として活躍するにはどのようにしたらよいでしょうか。

今回は高校中退からドラスティックな方法で即戦力として就職に成功するまでの壮絶な過程を描いた著書をピックアップしました。
これから、著者が高校に入学したものの中退し、引きこもり人生のどん底に陥っていた状態から、いかに這い上がることが出来たかをご紹介します。

それではどうぞ!

【目次】

はじめに

第1章 「引きこもり」というアイデンティティ
STORY1 悩んでから選ぶか? 選んでから悩むか?
STORY2 逃げ道を用意するのは、卑怯か? 賢い選択か?
STORY3 ネットは人間関係を希薄にするか?濃密にするか?
STORY4  嫉妬の感情は悪か? それとも…?

 

はじめに

この本の内容は、高校を中退し、22歳で大学に入学した元引きこもりのダメ人間が、なんとか逆転の糸口を見つけて就職先を見つけたという話だ。
 
今、「就職活動」といえば、若者にとって避けては通れない道である。
 
それは数百人、数千人、数万人が選考を受け、1人か2人が採用されるというとてつもない狭き門になっている。50、60の企業にエントリーするのは当たり前。それでも内定が得られない学生も多い。なぜ落とされたのかがわからず、自分そのものが否定されている気分になり、精神を病んでしまう者もいるという。
 
私は16歳で高校を辞めて、長く引きこもっていた。大検を取得して進学するも、「就活シーズン」の悪夢にうなされ、その時が訪れるのがただ恐ろしかった。なんにも持っていない自分が白日の下に晒され、打ち捨てられる恐怖。押し寄せる「お前は必要ない人間です」の嵐。鬱病まっしぐら。
 
……しかし!
 
そんな状態に陥る前に、奇襲作戦を実行して、音速で内定を手に入れたのである。どうやって窮地を脱したのか? その謎解きをするのが本書である。
 
私は就職活動が怖くて、逃げた。どうにか抜け道がないかを探し、そうやって避けては通れぬ道も、狭き門も通らずに就職先を探したのだ。
 
2012年2月、私は「世界一即戦力な男・菊池良から新卒採用担当のキミへ」というウェブサイトを公開した。サイトの中で自己PRを展開し、企業から声がかかるのを待つ「逆就活サイト」である。
 
すぐにソーシャルメディアで話題になり、フェイスブックで2万以上の「いいね!」が押され、ツイートは2000以上、PVは100万を超えた。
 
さらにはフジテレビ制作で私の半生がウェブドラマ化され、再生数は150万を超えている。
「就職できればラッキー」くらいの気持ちで公開したウェブサイトがここまで大きく広がるとは、自分でも予想していなかった。
 
本書に込めたメッセージは2つある。

「一見、閉塞した状況に見えても、ちょっと見方を変えれば抜け道を発見できる」
「ほんの少しの勇気と努力で、環境なんていくらでも変えられる」
 
人間には2種類いる。努力できる人間と、できない人間である。
私は後者だ。「即戦力」として内定を得るまでは、失敗の連続でどん底だった。そこから努力をせずに事態を逆転させたのだ。
 
同じように努力できない、努力したくない人間に向けて書きたい。そんなオルタナティブな思いを込めて本書を執筆した。
 
この本を読めば、現役の就活生は「即戦力」になるヒントが得られるだろう。また、ビジネスマンが読めば日頃の発想を転換するきっかけとなるはずだ。
 
本書のおおまかな構成は次のとおりである。
第1章は高校を中退し、インターネットの世界にハマった時期を書く。引きこもりのディープな生態に迫った。
 
第2章では作家の水野敬也、演出家の古屋雄作に憧れ、2人に近づこうと行動を起こすまでを書いた。
 
第3章では引きこもり生活を抜けだして大学生になるまでを書く。人との出会いで人生がどう変わるのか、一例を示した。
 
第4章に書かれるのは学生生活の中で将来に悩み、フリーランスを目指して大失敗する軌跡である。適性のない人間が無理をすると、現状が悪化していくだけだという様を書いた。努力できない人間は、まず自分が向いていないことを見極める必要があるのだ。
 
第5章は何をやったら正解なのかわからなくなり、いろいろなことに手を出して迷走していく過程である。会いたい人に会いに行ったり、現代詩の大会に参加したりした。いろんなことに手を出すことが、視野の拡張に繋がるのだ。
 
第6章は就活シーズンが近づき、どうやったら突破口が見つかるか考え、ウェブサイトを形にしていくまでを書く。あのサイトで私を知った人が一番知りたいのは、ここかもしれない。
 
第7章はウェブサイトを公開し、内定を獲得するまでを書いた。ちょっとした行動で人生がどう好転するのかがこの章ではわかる。どこにも明かしていない裏話も書いたので、メイキングとして読んでほしい。
 
また、その時々で得た「教訓」を盛り込んでいる。次世代が私よりも生きやすくなるように、すべてを素直に書くことにした。この本を読むことで私よりも速いスピードで学習し、さらなる高みを目指してほしい。
 
この本を読み終わったあと、次に主役になるのはキミだ。
さて、あと数ページで第1章がはじまる。この部分は本当に……読まれたくない。人間的にダメすぎる時期のことで、恥ずかしくて死にそうだ。他人の黒歴史に興味がある方はどうぞ。それ以外の人は、できれば第2章から読んでほしい。

 

第1章
「引きこもり」というアイデンティティ 

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毎日、「食う寝る遊ぶ」でなんの生産性もない日々を送っていた。「引きこもり」っていうやつだ。
その楽園が永遠につづくと思っていた。

だが……。
「引きこもりミュージシャン・ノリアキ」
 
ウェブに彼のPVがアップされ、話題になっていた。調べてみると大学生で、趣味がインドアなだけだ。彼の曲のラップで、エミネムとZEEBRAをフェイクだと言い切り、自分がリアルだと言っていた。

「フェイクは、お前のほうだよ」
私のほうが本格派の引きこもりだ。

私が一番上手く引きこもれているんだ!

 

STORY1
悩んでから選ぶか?選んでから悩むか?

菊池、高校やめるってよ
 
キミは致命的な選択ミスをした場合、どうするだろうか? 後悔に苛まれ、過去の自分を恥じて、罪悪感の磔にかけて自分自身を糾弾するかもしれない。
 
2002年、安易な選択が、私の人生を大きく変えた。
高校を辞めることにしたのだ。
 
高校1年生の9月だった。夏休みを終えると、その足で学校に長期休暇の延長を申し出たのだ。期限は無限大。
 
担任は特別に引き止めることもなく、淡々と手続きをした。どこか「やっぱりな」と思っていそうな表情だった。
「学校、楽しいか?」
 
1学期のいつだったか、担任がそんなことを聞いてきたことがある。年齢は30歳前後で、ダメな若者に理解を示したがる男だ。おそらく何年も教師をやっていると、顔を見れば誰が辞めるのかわかるのだろう。職人がヒヨコの雄雌を見分けるように、私を見て中退の匂いを嗅ぎ取ったのだ。
 
そのころの私といえば、こんな顔をしていた。
まったくやる気がない。これっぽっちも。純粋なゼロ。「無気力」で辞書を引いたら、補足の写真として載っていそうな顔だ。
 
2013年、第36回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した映画「桐島、部活やめるってよ」では、バレーボール部に所属していた「桐島」が部活を辞めただけで、生徒たちの関係性に大きな影響を与え、その人間模様をドラマにしていた。しかし、私の場合は「菊池、学校やめるってよ」と発する人間は誰もいなかったし、各界に影響を与えることもなかった。
 
ただなにもない場所に、風だけが吹いていた。

高校で誰とも関係性を築くことなく、さっさと辞めたからだ。
何でそんなことになったのか?
なぜ1年も待たずに辞める決心がついたのか?
その答えは中学時代にある。

 

親友の裏切り、そして孤独
 
中学3年のとき、岡島(仮名)という親友がいた。どれくらい仲良かったかというと、テレビゲーム「弟切草」で主人公の名前を入力する際、「おかじま」にしていたほどだ。
 
よくお互いの家を行き来してゲームをしていた。岡島は「プロジェクト・ミネルヴァ」という藤原紀香をモデルにしたアクションゲームを熱心にプレイしていて、それを後ろで見ながら「何でわざわざそんなイロモノに手を出したんだよ、岡島!」と思っていた。よほど紀香バディに心酔していたのだろうか。
 
その岡島がある日、こう言ってきたのだ。「菊池、俺は料理人になる。そのために調理科のある高校を受ける。一緒にどうだ?」
 
聞けば、高校のカリキュラムと同時並行で調理師としての訓練も受けられて、卒業と同時に免許を
取得できる学校があるという。調理師試験に合格しなければいけないが、普通に授業を受けていればまず落ちないと説明された。
 
料理人か……。私はこの誘いに二つ返事でOKした。
 
なぜなら私の愛読書は『美味しんぼ』(雁屋哲・原作、花咲アキラ・作画、小学館)だからだ。連載30年以上の国民的グルメ漫画。本棚には既刊本をすべて揃えていて、それを何度も何度も読み返していた。主人公の山岡士郎はどんな問題も料理で解決しようとする。その強引さに感心しながら、美食の奥深さを学んでいたのだ。
 
そんな料理の世界に入るのも悪くないかな、と思った。資格が取れるというのも魅力的だった。
 
① 親友に誘われた
② 『美味しんぼ』が好きだ
③ 手に職がつく資格が取得できてお得だ
 
これだけ条件が揃ったら、この高校に行くしかない。もはや運命だ。
2人で受験をし、無事に合格した。

「一緒に料理人の道を行こう。これからは親友じゃない。ライバルだ」
 
そう誓い合った。もう1校、都立を受けていたのだが、調理科に合格した時点で受験へのやる気を失ってしまい、勉強をせずに映画館に行ったりしていた。「スパイ・ゾルゲ」という映画を見たのだが、ストーリーはまるで覚えていない。寝ていたからだ。試験はもちろん不合格だった。
 
よし、進学に向けて準備をしよう。そう思っていた矢先だった。岡島がこんなことを言い出したのだ。

「俺、都立に受かったからそっちに行く。頑張れよ、菊池」
な、なんだって!?
 
彼は普通科に行くことを決めた。しっかりと勉強していたのだ。
2人で歩んでいくはずだった料理人の道。それが突然、彼はバイクにまたがり、颯爽と去っていった。
1人で取り残されて、呆然とした。

 

漫画と現実は違う
 
だけど、私には料理を愛する心が残っていたので、気を取り直して修業することにした。だが、進学してみてとても驚いたことがある。
 
自分の性格があまり料理にも向いていないのだ。
 
大雑把で、細かいことが苦手。手先が不器用。なにより根気がない。
「漫画で読むのと実際にやるのとでは、こんなに違うのか」
 
目からウロコが落ちた。同時に、不得意なことを3年間も積み上げていくのかと思うと、気が遠くなった。週に1回の調理実習がつらくてしょうがない。
 
それで中退に踏み切ったわけだ。ロジカルに考えると辞めるしかなかった。
 
行くと決めた高校をすぐ辞めるだなんて、コロコロ変わるいい加減な人間だと思われるかもしれない。だが、じつはどちらも同じ行動原理で動いている。それは「とりあえず、選択してみる」ということ。
 
あれか、これか、で悩むよりもまずは選んでみて、間違っているとわかれば選び直せばいい。そもそもどちらか迷う時点で、両者に決定的な差はないのだ。

それにやってみなければわからないことだって多い。

今回の場合は、私が料理に向いていなかっただけだ。慎重に選んでから判明していたら、手遅れになっていたかもしれない。辞めたくても辞められず、一生苦しみつづけることになるのだ。
 
人生は短い。まずは選択すること。それが重要だと思っている。
ちなみに岡島とは中学卒業以来、まともに連絡を取っていない。お互い、別々の道を行く運命だったのだ。
 
彼は彼で、我が道を極めようと試行錯誤を続けているのだろう。

◆これから未来をつくるキミへ◆

まずは選択だ。
何かを選び取らなきゃ、なにもはじまらない。

 

STORY2
逃げ道を用意するのは、卑怯か? 賢い選択か?

その気になればいつでもレールに戻れる
 
高校中退という大きな決断を迅速にできたのは、料理に向いていなかったこと以外に、もう1つ理由がある。
知識を持っていたのである。ドロップアウトしても元に戻れる道を知っていたのだ。
 
中学時代、学校に行かず、13時30分からやっている連続ドラマ─いわゆる「昼ドラ」を見ていたからだ。そのころは井上真央が主演の「キッズ・ウォー」シリーズをやっていた。
 
このドラマは1999年~2003年にかけてシリーズ5つ、特番2つもつくられた大人気番組だ。バツイチ同士の男女が再婚し、お互いの子供を育てていく様を描いたホームドラマである。理不尽なことに「ざけんなよ!」と威勢よく啖呵を切る生稲晃子が見ていて爽快だった。
 
その家族の長男はイジメにあっていて、学校に行きたがらなかった。彼は復讐よりも、逃走を選んだ。そこで学校に行かないことの了承を親にとろうとするのだが、説得に使ったのが大学入学資格検定、いわゆる「大検」だ(2005年度より高等学校卒業程度認定試験に名称変更)。
 
大検とは高校を卒業していない人間でも、大学受験できる制度のこと。11科目において一定数以上の得点をすれば合格となり、大学の入学試験を受けられるようになる。
 
中学をサボり、「笑っていいとも!」→「ごきげんよう」→「昼ドラ」と不登校にとってのダイナマイト打線でテレビを見ていて、たまたま「キッズ・ウォー」を見ていたのだ。

「そうか。高校をドロップアウトしても、大学に入る道はあるんだな」
同じように学校生活に馴染めていなかった私には福音だった。
 
その気になればいつでもレールに戻れる。

だから、躊躇なく高校を中退できた。親を説得する材料は、もちろん「キッズ・ウォー」だ。長男と同じように大検というカードを切って、首を縦に振らせた。
 
もし、このとき「キッズ・ウォー」を見ておらず、高校卒業まで耐えていたら、いったいどうなっていたのだろう?

「歴史にifはない」と言うが、ひょっとしたら今頃は実業家の道を歩み、建築事務所を開業していたかもしれない。そして、ビジネスで成功を収めたあと、衆議院議員へと転身。道路法の改正に尽力してから首相へと就任し、著書『日本列島改造論』がベストセラーに。

「コンピュータ付きブルドーザー」と呼ばれ活躍するが、国際的な贈収賄事件が発覚して
……そんな波瀾万丈な生涯を送れたかもしれない。
 
でも、私はその道を選ばなかった(そして、その道を選んだのが田中角栄だ)。

これが中卒の人生プランだ
 
私は人生プランをこう立てた。
高校を辞めて毎日をのんびりと過ごしながら、18歳までに大検を取得し、現役生と同じタイミングで大学に入る。19歳で大学生になれば、帳尻が合う。「高校中退」という焼き印が押されるわけじゃないので、黙っていればなにもわからない。OK、悪くない計画だろ?
 
周りの同年代が通学時間や部活動に時間を使っている間、家で黙々と勉強をすれば、そこまで差はつかないだろう。インターネットで調べたら、高校中退して成功した人はいくらでもいることがわかる(タレントの伊集院光、歌手の尾崎豊、俳優のジョニー・デップなど)。私もその1人として、肩を並べるだけだ。
 
大検には2004年、17歳の12月に合格した。試験の科目数が多いものの、それぞれの問題自体は平易で、難なくクリアできた。順調な滑り出しだ。このまま勢いに乗って、大学受験を乗り越えればいい。それだけだ。
 
高校を卒業するよりも大検のほうが楽だ、と言いたいわけじゃない。目的地へたどり着く道は、なにも一本じゃないってことだ。自分が通りやすいと感じたところに行けばいいのである。ドロップアウトしたって、生き残る道はいくらでも用意されているのだ。私の選んだ道もその一例でしかない。
 
徹底的に逃げ道を調べておくんだ。それは映画館で非常口を確認するのと一緒である。いざとなったとき、避難場所がわかっている人間は強い。
 
そもそも中卒だからって死ぬわけじゃない。それがアドバンテージとなる場所を探せば良いのだ。世界には首が長ければ長いほど美人だと感じる人たちもいる。中卒であることが武器になるところへ行けばいい。
 
漬け物が好きな人もいれば、嫌いな人もいる。苦手な人に無理やり漬け物を食べさせるのは難しい。その人の口に合うように味付けを変えていったら、それは漬け物じゃなくなってしまう。
 
つまり、努力して自分を変えるよりも、今の自分を好きになってくれる人を探したほうが早いのだ。

◆これから未来をつくるキミへ◆

逃げ道を探せ。
自分が武器になる場所を見つけろ。

 

STORY3
ネットは人間関係を希薄にするか?濃密にするか?

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高校を中退しても悪いことばかりじゃない
 
ニートと聞くと、世間はすぐネガティブに取る。
本人も「俺、ダメな奴だ……人間失格だよ。太宰治は高学歴で小説が書けたからいいけど、俺には両方ない。ただ無駄飯を貪るだけの毎日。豚だ。俺は豚だ!」と自己嫌悪に陥っているかもしれない。
 
親も早くそんな状態から脱せられるように、経験豊富で遊び上手な伯父さんに頼んで、「息子を釣りにでも連れていって、気分転換させてください」と言う。はりきった伯父さんは渓谷まで行って、「どうだ? 自然の中でゆったりと過ごすと、頭がスッキリするだろう」と言い出すのだ。良い伯父さんだ。
 
なぜニートにマイナスイメージが付いているのかというと、彼らの実態が謎に包まれているからだ。ここで経験者の立場から、イメージ改善のためにニートが1日をどう過ごしているのかを書いてみよう。
 
一言で言うと「暇」だ。なにもすることがない。無為の極み。いわゆる「引きこもり」状態。朝起きたらまずパソコンを起動し(つけっぱなしのときもある)、インターネットを巡回する。お腹が空いたら家族に見つからないようキッチンへ行き、冷蔵庫を物色。余りものを適当に食べて、またインターネット。疲れたら寝転がってインターネットをし、眠くなるまでインターネットをしつづける。布団に入ったら、次に起きるのは12時間も13時間もあとだ。
 
さて、私は大学を受験すると言って高校を辞めた。それはどうなったのか。
結論から言うと、これっぽっちも進んでいなかった。

 

作家・水野敬也との出会い
 
ウェブは本来、人と人とを繋げるものである。コミュニケーションを促進させるものだ。だから、インターネットが人間関係を希薄にするなんてことはあり得ない。むしろ、出会うはずじゃなかった人間を衝突させるものなのだ。
 
そして、私は生涯の目標となる人物をウェブで見つけた。
 
私が好きなウェブサイトの1つに「ウケる日記」というものがあった。作家・水野敬也が運営するブログである。2003年、『ウケる技術』というお笑いのハウツー本がスマッシュヒットしたあとだった。毎日のように笑える日記、時にはタメになることが書かれていて、私は更新を待ち望んでいたのだ。
 
水野さんは日記のほかにも「オシャる技術」というファッションに関するウェブ連載や、中学時代からの友人で演出家の古屋雄作とネットラジオもやっていた。積極的にネットでアウトプットをしていたのだ。それらをすべて追っかけていた。すでに消えていたお笑い芸人時代のウェブサイトの発掘をしたりもしていた。訓練されたネットストーカーだ。

 

没頭せよ
 
ネットラジオの名前は「1億円ラジオ」だった。そのころの水野さんは「1億円プロジェクト」というものをやろうとしていて、1億円を稼いでそれを空からバラ撒く、さらにその過程をドキュメンタリーとして本にする、という計画を立てていた。
 
古屋さんもそれに賛同しており、2人で毎週ラジオを放送していた。
古屋さんはどうやらどこかの映像会社に勤めていて、テレビ番組を制作しているぐらいしかわからなかったが、息の合った2人の掛け合いは最高に面白かった。
 
しばらくして、古屋さんがかつて「赤線」というウェブサイトを運営していたことが判明する。それは90年代末に異彩を放っていたサイトで、芸能人のインタビュー記事をスキャナで取り込み、特定の発言に「赤線を引くだけ」というとてもシュールな内容だった。
 
どういう発言か、といえばたとえば次のようなものだ。

想像のパワーはどこからくるのかって、よく聞かれるんですよ。でも、こればかりは説明がつかないんですね。何かこう自分の中に噴き出してくるものがあって……出さずにいられないんです。それを提示しないのは、のような気さえする。それくらいの恐怖観念がありますね。
─石井竜也、「ラ・セーヌ」1998年12月
 
こういった発言を古屋さんは「赤い」と形容していた。今でこそ「中二病」や「ミサワ」という概念があるが、その当時はなく、「赤線」は孤高の存在だった。
 
古屋さんはその「赤線」の書籍化と、「スカイフィッシュの捕まえ方」という映像作品を自主制作していて、その経過をラジオで報告していた。水野さんを追ううちに、彼のセンスにも惹かれていった。
 
じつは「即戦力」のウェブサイトには、彼ら2人のエッセンスが詰まっている。このとき手に入れたもの(ギフト)を生かしたからこそ、内定を獲得できたのだ。
 
私は引きこもっていた間、自分が「面白い」と思うものを必死に追っていたのだ。ウェブの楽しさに、脳が痺れていた。そうやって溺れているうちに、泳ぎ方を身につけたのだ。

何かにハマったり、追いかけたりすることは悪いことじゃない。「好き」は学ぶ原動力になる。キミも目の前に好きなものがあったら、それ以外のことはちょっと横に置いて、ひたすら没頭してみてはどうだろうか。レオナルド・ダ・ヴィンチだって最初は消費者だったはずだ。
 
それと「面白い」を追いかけていると、気持ちがワクワクして落ち込まないという利点もある。

◆これから未来をつくるキミへ◆

目標とする人物を探せ。
ウェブはそれを手助けしてくれる。

 

STORY4
嫉妬の感情は悪か?それとも…?

「後輩オーディション」の衝撃
 
インターネットは目標となる人物だけではなく、ライバルも見つけさせてくれる。そして、それが原動力となって行動を起こすことだってあるのだ。

ウェブは人を内向的にしていって喜怒哀楽を殺すと思われがちだが、実際は憧れや羨望、モチベーションも生む。映画でブルース・リーを見て、空手をはじめるのと同じ効果があるのだ。
 
そして当然だが、「嫉妬」も生む。オシャレな街で高校時代からの仲間たち(バスケ部で一緒に全国大会を目指した)と遊び回っている様をブログにしたためて、コメント欄で女性から「今日も面白いですね(笑)」と書かれるような人を見て、「こいつは……俺が欲しくても持っていないものをすべて持っている……! 青春、女、名声……!」と黒い感情を爆発させることもある。
 
だが、それも悪いことではない。ポジティブな方向にリサイクルすればいいのだ。
 
2005年のある日、水野敬也さんと古屋雄作さんはラジオで「後輩オーディション」をやろうと盛り上がりだした。要は作品制作のお手伝いを求めていたのだが、「弟子」や「アシスタント」ではなく、「後輩」のような距離感の人間が欲しかったようだ。

「第1回後輩オーディション」の案内は2005年の5月31日に水野さんのブログに掲載された。
 
応募しようか。するべきだ。
しかし、できなかった。鏡の中のもう1人の自分が言う。

「もしも、2人が『キミってつまらないね』『たいしたことないね』と言ったら……?」
怖かった。自信がなかった。

好きな人と対面して、評価されることが恐ろしかった。
そのころの私は一介の引きこもりにすぎなかった。どこにでもある路傍の石だ。静かに、ブログとネットラジオで経過を見守ることにした。
 
そして、激しい嫉妬がはじまった。

 

引きこもりミュージシャン・ノリアキの誕生
 
私が怖じ気づいている間に、チャンスを摑んだ男がいた。ノリアキという男だ。国立大学に通う現役の大学生。銀縁メガネをかけた漫画に出てくるようなガリ勉くんなスタイルが、2人の心を捕らえたようだ。
 
ノリアキはラジオに出演するようになり、水野さんと古屋さんはそこで「宿題」を出した。
「お前をミュージシャンにして武道館に立たせる。だから、曲をつくってこい」
 
とんでもない無茶ぶりだ。ノリアキはその時点で音楽経験なんてまるでなかった。聞くのはゲーム・ミュージックぐらいだと本人も言う。だが、先輩の言うことなので、断りきれない。

ノリアキは仕方なくフリーウェアのDTMソフトで作曲し、それをラジオで発表した。
 
ハロルド作石の『BECK』(講談社)という漫画では、田中幸雄(通称・コユキ)というなんの取り柄もない主人公が音楽に目覚め、バンドで頂点を目指していく。コユキは普通の中学生だったのだが、抜群の歌唱力を持っており、彼が歌いだすと誰もが呆然と聞き入ってしまうのだった。堤幸彦監督で実写映画化されたとき、この部分を「無音」にするという画期的な演出がなされた。
 
まさにあんな光景だった。
ノリアキの歌に魅了されたのだ。才能を確信し、2人はますます「ノリアキをミュージシャンにしよう」と盛り上がったのである。

 

インターネットがノリアキに味方した
 
2005年当時、ユーチューブというウェブサービスが注目されだしていた。個人が動画を簡単にアップロードし、広く発表できる手段が生まれたのだ。それまでのインターネットは動画のような大容量のファイルをアップロードできる場所は少なかった。見るだけでも手間がかかっていたのだ。そのため、映像で何かを表現することは、インターネットでは稀な行為だった。動画を使うなら、軽くてブラウザ上で見られる「フラッシュアニメ」が主流だった。
 
それがユーチューブの登場で世界が変わったのだ。アップロードするのも見るのも、ユーチューブのサイトで行えばOK。それまで「文章」と「画像」が主体だったインターネットに、新しく「映像」という表現手法が加わった。
 
古屋さんにとって、その変化は好機だった。もともと映像制作会社に勤める人間だ。動画は主戦場である。古屋さんと水野さんは、ノリアキの音楽にPVを付けることにした。「unstoppable」と名付けられたその曲は、なんとラップ。ガリ勉な見た目から想像できない組み合わせである。
 
撮影に使ったのは、2人がよく行くデニーズ。キャップを斜めに被ったノリアキが、リリックを刻みつづける。テーブルにいるノリアキが「エミネム、ZEEBRAも全部フェイク!」と宣言する挑発的な内容。奥の座席には口を開けて眠っている水野さんが映っていた。
 
このPVは発表するとすぐさま各種のニュースサイトに取り上げられ、ノリアキは「引きこもりラッパー」という肩書きで紹介される。
 
引きこもり……それは私のアイデンティティでもあった。それを取られた思いがして、たまらなく悔しかった。ノリアキを見ていると、不安定な気持ちにさせられる。それは紛れもなく「嫉妬」だ。純粋培養された負の感情。
 
このとき、「あいつを排除して気持ちを落ち着かせよう」と考えると、刑務所まっしぐらになる。独房は自由を束縛されてインターネットもできないので、それはよろしくない。
 
まともな嫉妬の仕方は、「今に見ていろ。いつか乗り越えてやる」だ。

俺よりも年収が高くて人生楽しそう→いつか年収が高くなって金で買えるものはすべて手に入れてやる

女にモテて羨ましい→いつかカッコいい大人の男になって『GOETHE』『GQ』の表紙になってやる

頭が良くて尊敬されている→いつかハーバード大学あたりに留学して金髪美女と哲学談義してやる
 
ちなみに乗り越える期限は「50年以内」にしておくと、精神衛生に良い。「1年以内」とかだと、達成できなかったときのショックが計り知れない。50年だったらなんとなくできそうな気がする。「目標は高く、自分には甘く」だ。
 
そういうわけで私はこのように嫉妬した。

ノリアキが水野さんと古屋さんに認められて悔しい→いつかオーディションに参加して、俺も2人に気に入られてみせるぞ

こうすればノリアキを見ても落ち込むことがない。そのうえ、なんだかやる気も出てくる。
 
できるかどうかよりも、ナーバスにならないことが重要だ。
その後、ノリアキはDVDとCDをそれぞれ1枚ずつ発表している。楽曲はどれもクオリティが高く、中でも私は「だれかおれをすきになれ」が、タイトルも歌詞も曲調も好みだ。これらは今でもアマゾンで購入できる。

◆これから未来をつくるキミへ◆

ネガティブな感情を闘争心に変換しろ。

 

 【書籍紹介~目次】

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『世界一即戦力な男』

 

はじめに

登場人物一覧 

第1章 「引きこもり」というアイデンティティ
STORY1 悩んでから選ぶか?選んでから悩むか?
菊池、高校やめるってよ/親友の裏切り、そして孤独/漫画と現実は違う

STORY2 逃げ道を用意するのは、卑怯か? 賢い選択か?
その気になればいつでもレールに戻れる/これが中卒の人生プランだ

STORY3 ネットは人間関係を希薄にするか?濃密にするか?
高校を中退しても悪いことばかりじゃない/作家・水野敬也との出会い/没頭せよ

STORY4 嫉妬の感情は悪か?それとも…?
「後輩オーディション」の衝撃/引きこもりミュージシャン・ノリアキの誕生/インターネットがノリアキに味方した

第2章憧れの人物からの拒絶
STORY5 あなたには失敗する場所があるか? ないか?
「何かを表現したい」という欲求/有名ブロガーにはなれなかった

STORY6 面接で重んじられるのは常識か?あるいは個性か?
第3回後輩オーディション、はじまる/はじめての面接/対決、ビスケット・オリバ/わずかな糸口で否定しろ

STORY7 現代社会はコミュ障に厳しい? 意外と優しい?
それでも、諦めない/水野敬也を倒す!

第3章22歳の大学1年生へ
STORY8 R―1ぐらんぷりに出ろと言われたら、出る? 出ない?
徹夜で書いた「愚かしいもの」リスト/当時考えた「愚かしいもの」/ピン芸人のチャンピオンを目指せ?

STORY9 トラウマを消したい?消したくない?
なぜか「愛のメモリー」を歌う/失われた3分間

STORY10 コミュ力が高いのは武蔵? 小次郎?
コピー機の使い方すらわからなかった/誰よりも早く手を挙げろ/後輩ライバル、岡田の登場/後輩ファイトクラブ、はじまる

STORY11 特別を目指すか?普通を目指すか?
将来なんて考えたことがない/そして、大学生になった

第4章 挫折から得られるもの
STORY12 短所を克服するのが先か?あるいは長所を伸ばすのが先か?
未来はいつも白紙、だけど……/フリーライターになろう/私の未来予想図/フリーライター失敗

STORY13 アウェイで戦うべきか?ホームで戦うべきか?
宗教をつくろう/教祖にもなれなかった/デタッチメントからコミットメントへ

STORY14 顔を見てから惚れるか?惚れてから顔を見るか?
「西島大介のひらめき☆マンガ学校」との出会い/恋に落ちた/ダメすぎる待ち合わせ/西島大介に爪痕は残せた?

第5章 狂ったような挑戦の日々
STORY15 可能性が潜んでいるのは、知っている道か? 知らない道か?
「拡張現実」って何?/「十三兄弟」になりたい/そして兄弟が13人増えた/1年ごしの拡張

STORY16 水嶋ヒロになりたい?なりたくない?
「水嶋ヒロ作家デビュー」の衝撃/「水嶋ヒロと同化してんじゃねーの」を結成/誰でも水嶋ヒロになれる技術を開発/動画コンテストの顛末/朝吹真理子に会いたい/水嶋ヒロを襲名しよう

STORY17 セロリは好き? 嫌い?
詩人にはなれそうにない/詩を書きまくれ/どれもこれも「未来」に繋げられなかった

第6章 自己PRサイト「世界一即戦力な男」の軌跡
STORY18 決断するのは、キクチか? ダニエルか?
毎月お金を振り込まれたい/メチャヤバ就活生・近藤佑子との出会い/就活サイトをつくろう/崖の底で見た樽美酒研二

STORY19 キミには何ができるのか?そして何ができないのか?
アイデアを話して確信する/ウェブ制作はできない/動画撮影もできない/動画の内容くらいは自分で考えよう

STORY20 待ち時間はムダか?それとも…?
ひたすら待つしかない/TOEICを受けてみた

STORY21 愛の反対は憎しみか? 無関心か?
ついにウェブサイトを公開/ぜんぜん反応がない

第7章 音速で内定をゲットした話
STORY22 企業は冷たい?冷たくない?
世界一即戦力な男を発見したったwwwwwwwwwwww/どんなメッセージが届いたのか/株式会社LIGからのメッセージ

STORY23 面接では嘘をつく?本音で勝負する?
誰かに笑われないだろうかという不安/かつてのトラウマが蘇る

STORY24 就職活動はつらい?それとも楽しい?
面接は一瞬で終わった/面接漬けの日々

STORY25 内定はゴールか?スタートか?そして、あっという間に時が過ぎた/私はどこにいるんだろう?

 

 

おわりに 

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