「人間の心理」を使って人生をデザインしよう! 神岡真司氏が解説する「人に振り回される人」から「人の心を動かす人」になれる方法

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あなたは、仕事でもプライベートでも、相手が何を思っているか何を考えているかが分らずに、振り回されたり悩んだりしたことはありませんか?

例えば、

・何故、相手が自分だけに辛く当たるのか分からず仕事がやりづらい
・何故かいつも、相手のペースに乗せられてしまい自分らしくいられない
・相手の求めているものが分からずに、説得に失敗することが多い

などです。


こうした「相手の心」に振り回されたままでいると、これからも仕事がやりづらかったり、自分らしくいられなかったり、要望が通らなかったりと、まず良いことはありません。
むしろ損をしたり被害をこうむったりすることにもなりかねないのです。

ではどうしたら、他人に振り回されたり悩んだりしなくなるのでしょうか?
それには「人間の心理」に着目することが大切です。

「人間の心理」に着目すると、

・「相手の心」の動きが分かるようになり、必然的に対処法も解明できるようになる
・「相手の心」をどう刺激すればどう反応するかをつかめるようになる

という、強力なメリットを得られます。

さらに「人間の心理」に基づいて『「相手の心」を動かす心理テクニック』を身につけると、自分の望む方向に相手を誘導出来るようになります。
すると、自分にチャンスが訪れるようになります。たくさんのチャンスをつかめば、あなたは望み通りの人生をデザインすることだって可能になるのです。

このように「人間の心理」に着目することをきっかけに、人に振り回されたり悩んだりすることがなくなり、人生をデザインするところまで飛躍できてしまうのです。

その「心理テクニック」を身につけるための方法を説いているのが、ビジネス心理研究家の神岡真司氏です。

神岡氏は「相手の心」に振り回されず「人の心を動かす」には「相手の心にフォーカスを当てたコミュニケーション法」が必要だと考えています。
神岡氏が言う「相手の心にフォーカスを当てたコミュニケーション法」とは、

1.相手の心を読み
2.相手の心を上手に刺激し
3.自分の思い通りの方向にあやつる

ことで、正に「人間の心理」に着目する必要があるということです。
ここでは、心理学を学んだことのない人でも分かりやすいように「人間の心理」について解説しています。
神岡氏の「心理テクニック」を身につければ、人に振り回されずに、逆に人を動かすことができます。

あなたも、人に振り回されないで思い通りの人生をデザインしてみませんか? 
それでは早速読み進めて行きましょう!

 

プロローグ
第1章
イヤな相手・苦手な人物を攻略する
1苦手な人物にスムーズにアプローチする
2会話が弾まない苦手な人物の心を開かせる
3激昂するパワハラ上司や凶悪クレーマーを黙らせる
4謝罪時に相手の追及を緩和する
5不当な要求を実現しようとする相手に乗せられない方法
6反対せずに異論を唱える
7皮肉屋やイヤミな人への切り返し法
8意地悪な人への切り返し法
9面と向かって悪口を言ってくる人への切り返し法
10取りつく島のない人に耳を傾けてもらう
11アルコールが入ると絡んでくる人を御する
12下品で非常識な人の言動を是正する
13しばしば遅刻する不埒な部下の行動を改めさせる
14会話の途中ですぐに感情的になる相手をコントロールする
15頑固一徹で自分のやり方を変えない人物を従わせる
16女性上司が男性部下を操縦する方法
17マイナス面が多い気弱な部下をフォローする
18無茶な目標を押し付けてくる上司の要求を下げさせる
19面従腹背の部下の行動を改めさせる
20ホウレンソウをしない「仕事の出来る部下」を更生させる
21生意気な相手を手玉にとって動かす方法
22相手の挑発に乗せられない方法(その1・「体感コントロール法」)
23相手の挑発に乗せられない方法(その2・「意識コントロール法」)

 

プロローグ
人の心を制するものが人生を制する!

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▼人の心がわかれば人生を思い通りにデザインできる!

本書を手にとっていただき、ありがとうございます。
あなたには、こんな思いがありませんか。

「あの人はなぜ、私につらく当たるんだろう? やめてほしいのに……」

「いつも相手のペースに乗せられてしまい、自分の考えや方向とは違う結果になる……」

「ここぞというクロージングの場面でも、相手をうまく説得できない……」

「あの人に近づいて、仲良くなりたいけど、どうしていいのかわからない……」

こんなふうに、なかなか思い通りに行かないのが、人間関係でしょう。

相手の気持ちが読めないもどかしさ……。
相手にあやつられてしまう自分の不甲斐なさ……。

イエスと言ってほしいのに、そうとはならない焦燥感……。

自然な形で親しくなりたいのに緊張のあまり、ぎこちなさが前面に出てしまう……。

人を思いのままにあやつれるようになれたら、どんなに人生が快適になることか──。
そんな願望を、あなたはずっと抱いて来たのではありませんか?

本書を読んでいただくことで、あなたの長年の悩みは解消されます。

人の心の動きが、よくわかるようになるからです。

人の心の動きがわかれば、対処法も明らかになります。

人の心をどう刺激すれば、どう反応するのか──それがわかれば、あなたの望む方向へと相手を導くこともできるからです。

自分の思い通りに、人を誘導していける──ということは、大きなメリットです。

自分に沢山のチャンスが訪れるように仕向けることができるからです。

つまり、自分の思い描いた人生を、自分にもたらすことが可能になるわけです。

自分の人生をデザインできるなんて、とても素晴らしいことだとは思いませんか。

 

▼人の心を動かすのはコミュニケーションの方法にかかっている!

ところで、人の心を「あやつる」とか、「動かす」というのは、まさしくコミュニケーションの方法にかかってくるものです。

米国で年収50万ドル以上を稼ぐエグゼクティブ層への調査では、自分が成功した要因に「コミュニケーション力」を挙げる人が一番多いことは、よく知られています。

一代で人生の成功をつかんだ人たちは、コミュニケーションの巧拙こそが、人生における、さまざまなチャンスをもたらす要因だった──と過去を振り返り確信しているのです。

では、コミュニケーションの巧拙とは、いったい何なのでしょうか。

おしゃべり好きで陽気なタイプが、コミュニケーションが上手なのでしょうか?

あるいは、無口で冷静なタイプは、コミュニケーションが下手なのでしょうか?

いずれも、正解ではありません。

コミュニケーションが巧みな人とは、相手の心にフォーカスできる人のことです。

相手の心を読み、相手の心を上手に刺激して、自分の思い通りの方向にあやつれる人こそ、コミュニケーション上手と言えるのです。

ゆえに、心理学に通じておくことが必要になるのです。

心理学では、人間の心を扱っています。心の動きを、科学的に洞察し、仕組みを解明しています。心理学を知らずして、相手の心にフォーカスするのは、難しいのです。

ゆえに、本書では、心理学をわかりやすく解説することに心を砕きました。

「人を動かす」「人をあやつる」心理テクニックを次々と紹介していきます。

いずれも、心理学で実証された方法論に基づいた技法ばかりです。

人生のあらゆる場面で、知っていると有利になり、必ず役に立つ心理テクニックです。

これらの心理テクニックを、あなたのコミュニケーションに生かしていただくだけで、思い通りに相手を誘導することが可能になるわけです。

 

▼6つのカテゴリーで心理テクニックが自然に身につく!

本書では、さらに項目毎に、心理学的考察のポイントがわかるよう、6つのカテゴリー別の分類を行いました。これで、人の心のどこを刺激すべきかが明確になります。

◦承認欲求の充足……「認められたい・ほめられたい」という人の本能を充足させる方法
◦ディスペーシング法……他人の攻撃や抑圧から、自分の心を守るための賢い防御の方法

◦行動習慣の是正……………自分に迷惑を及ぼす人への行動習慣を上手に改めさせる方法
◦説得の技法………………説得すべき場面における説得効果を最大限に高めるための方法

◦コミュニケーション技法…………対人関係を向上させてチャンスをもたらすための方法
◦思考・イメージの操作……他人の思考やイメージに影響力を及ぼしメリットを得る方法

こうしたカテゴリー別に整理することで、これらをどう組み合わせるかといった戦略的・戦術的な使い勝手も期待できるでしょう。

心理学のテクニックは、実際に使ってみることで、身につきます。

使えば使うほどに、あなたのコミュニケーション力は磨かれ、周囲への影響力も一層増していくものです。ぜひ、一日にひとつずつでも、実践されんことを──と願っています。

最後に、本書の構成を簡単に紹介しておきます。
 
第1章は、苦手な相手への「攻略と防御」の対処法をお届けしていきます。
第2章は、説得の効果を高める技法を中心に紹介します。

第3章は、自分の上手な売り込み方を、アプローチの仕方からお伝えしていきます。
第4章は、自分が主導権を握るための戦略的方法論になります。

第5章は、扱いづらい相手への心理テクニックによるコントロール法です。

本書が、あなたのコミュニケーション力を飛躍的に向上させる糧となれば幸いです。

 

第1章
イヤな相手・苦手な人物を攻略する

テクニック1
苦手な人物にスムーズにアプローチする

 

承認欲求の充足「相談」

自分の職場に「イヤな相手・苦手な人物」がいる──と答えた人は、男性で約65%、女性で約62%にのぼります(ネット専業リサーチ会社による就業意識調査)。そうしたイヤな相手、苦手な人物には、できれば近づきたくないというのが本音でしょう。

顔も合わせたくなければ、会話もしたくない。できれば常に避けて通りたいはずです。すると、行動がどうしても、ちぐはぐで不自然になっていきます。

しかし、これでは、「返報性の原理」で相手からも確実に嫌われてしまいます。

相手の立場になって想像してみてください。自分を避けてくる人物は、自分を嫌っているからだ──と思います。そんな相手に好意を抱くはずはないのです。

こんな状況は早く打開しておかなければいけません。でないと、ビジネスの現場では、遠からず不利益を被る恐れ大だからです。

自分のほうから、うまくアプローチする方法があるので、覚えておきましょう。

「あのう、山田さん。○○のこと、お詳しかったですよね。
いろいろと教えていただけないでしょうか?
ぜひ、ご相談に乗っていただきたいことがあるんですよ」

相手の自尊心を満たす言葉を添えながら、相談をもちかけるだけでよいのです。

自分を遠ざけるかのように振る舞っていた人から、こんな言葉をかけられたなら、悪い気はしないでしょう。教えを請われたのですから、先生の立場にもなっているのです。

自分を避けているように見えたのは、自分の知性や見識に畏敬の念を抱いていたからか──とさえ思えてくるでしょう。ただの錯覚だったのか──と考えも改まります。

全面的に武装解除を施したアプローチは、人を安心させるのです。

こうして、自分のほうから、胸襟を開いてしまえばカンタンです。

イヤな相手、苦手な人物が、もはやそうではなくなるからです。

仕事でも、趣味でも、相手の得意分野、関心の高い分野を狙い撃ちしてあげましょう。

 

テクニック2
会話が弾まない苦手な人物の心を開かせる

承認欲求の充足「アロンソンの不貞の法則」

人は、自分のことや好きなモノ、興味のあることについて話している時が、一番楽しいものです。

時間を忘れてリラックスし、気がつくと自分だけが饒舌になっていたりするでしょう。

自分の話を熱心に聞いてくれる人がいたら、誰だって気分がよくなるのです。

それは、「認められたい・ほめられたい」という承認欲求が満たされるからです。

「聞き上手は話し上手」といわれるように、聞き上手な人は誰からも好かれます。

自分を認めてくれ、ほめてもらって嬉しくならない人はいないからです。

イヤだなと思う相手も、苦手に思う人物も、同じ人間です。

ゆえに、そんな相手の得意分野や、好きなこと、興味のあること、関心が高いものを、いろいろリサーチしておくと、さまざまな場面での話題作りに役立つのです。

「 今年の阪神は優勝争いに絡めますかね?」
「 ゴルフを始めようかと思うんですが……」

「米国の金融緩和の見通しは、どうです?」
「 息子さんの大学合格おめでとうございました」
「おすすめの経済書を教えて下さい」

会話に詰まったら、こんなさりげないセリフを振って、相手の心を開かせるとよいのです。ふだん、馴染みの薄い人から評価されると、親しい人からのそれより嬉しくなるのです(「アロンソンの不貞の法則」)

 

テクニック3
激昂するパワハラ上司や凶悪クレーマーを黙らせる

ディスペーシング法「現況の指摘」

大声で怒鳴るパワハラ上司や、威嚇的な言動で迫ってくる凶悪クレーマーには、誰だって縮み上がります。恐怖の心理がそうさせるのです。

緊張したこちらの声は上ずり、どう対処すべきかと混乱し、文字通りのパニック状態に陥るでしょう。敵の狙いもそこにあるから当然です。相手は、こちらを一方的に支配し、自分のわがままや要求を通そうとしているのです。

心理学には「ペーシング(同調行動)」と「ディスペーシング(反同調行動)」という用語があります。相手に合わせるのを同調、合わせないのを反同調と言います。

早口で話す人に早口で応じたり、笑顔で楽しそうに話す人に笑顔で応じるのは同調です。

同調してあげることで、相手の承認欲求が満たされるので、関係性が継続します。

大声で怒鳴る人や、威嚇的な言動で迫ってくる人に対しては、「畏縮する」ことが同調になります。相手の承認欲求を満たす形になるからですが、畏縮するばかりでは相手がつけ上がります。適度な反同調、すなわちディスペーシングをすることで、こちらの冷静な態度のほうにこそ、相手をペーシングさせなければなりません。

お腹一杯に息を吸い、肩や腕の力を抜いて、落ち着いた気持ちで、勇気を振るい、次のように相手の不当な言動を、そのまま言葉にして伝えてやりましょう。

大きな声で怒鳴らないでください。周囲に迷惑ですから!

相手が「何だとコラー!」と怒鳴り続けてきても、意に介さないことです。
淡々と静かに、ゆっくりと、もう一度繰り返しましょう。

何をそんなにお怒りなのですか? お静かに! とお願いしております

興奮している人に、こちらも逆上して歯向かったり、怖気づいて震えていたところで、相手の攻撃は止まないのです。こちらの冷静な態度こそが、相手をひるませます。

 

テクニック4
謝罪時に相手の追及を緩和する

承認欲求の充足「感謝の呈示」

厳しい叱責や、長いお説教を続けられると、うんざりさせられます。

早く切り上げてもらいたいあまり、「ホントに、ホントに申し訳ありませんでした」と何度も謝罪を連発したりするでしょう。

あるいは「はい、ホントにもう、十分反省しております。今後は二度とこのようなことのないように…」などと、反省の言葉をやたらと繰り返している人も見受けられます。

しかし、これらは、逆効果で間違った対応です。

相手は、こちらのそんな態度に、不遜な心持ちを見出すがゆえに、もっと苦痛を与えてやろうと、いつまでもムチを振り続け、叱責を繰り返すことにもなるからです。

敵の攻撃を早くやめさせたければ、「感謝の言葉」を贈呈すべきなのです。

パワハラ上司「だから俺があれほど注意してたのに、このバカ! くそったれ!」

賢い部下「部長ッ! 本当にいつもありがとうございます! 感謝しております!」

パワハラ上司「 ん???…あん? な、なんだ? あん?…わかってんの? え? ま…ええと、とにかく今後は気ィつけろよな…(トーンダウン)」

賢い部下「はっ、ありがとうございますッ!」

怒って興奮する相手を制する場合には、前項で解説した通り、落ち着いた態度で、相手の不当な言動を指摘してやるのが一番です。

しかし、この例のように、こちらに明らかなミスや失態があって、謝罪を求められるという、ねちっこい攻勢にさらされる場面では、唐突に「感謝の言葉」をぶつけるという変化球のほうが効くのです。

「感謝の言葉」は、相手の承認欲求を満たし、怒りを緩和させる効果が顕著だからです。

「感謝の言葉」には、相手を「いい気分」にさせる魔法の効力が宿っているからです。

「ありがとう」と返されると、続けて「ばかやろう!」とは言えなくなるでしょう。

窮地を脱したい場面で使えることを覚えておいて損はありません。

 

テクニック5
不当な要求を実現しようとする相手に乗せられない方法

ディスペーシング法「逆質問」

一方的に自分の主張を振りかざし、自分に都合のよい要求を通そうとする人がいます。

早口でまくし立ててきたり、恫喝まがいの言動で迫られると、こちらは口も挟めずタジタジになってしまいます。相手は、有無を言わせぬ状況を作り出そうとしているのです。

こんな形で相手に主導権を握られていると、こちらは混乱の中で冷静な判断力もはたらかせられぬまま、ついつい相手にイエスと言ってしまいがちです。

こんな場面では、相手のペースを崩し、会話の主導権を取り戻さなくてはいけません。

クレーマー「 おい、どうすんだよ。お前のせいだろ。どうしてくれる? 誠意を見せろよ!」

賢い応対者「は? 誠意ですか? それはどういう意味でしょうか?(冷静)」

クレーマー「せ、誠意だよ、誠意! わかるだろ。どうしてくれるんだよ!(怒)」
賢い応対者「 わかりません。具体的にどうしてほしいのですか?」

クレーマー「 ど、どうしてって…(汗)。わかるだろ…。そのつまり……(狼狽)」

このように、不当な要求を突きつけようと、「どうしてくれるんだ?」とか、「誠意を見せろよ」という悪質クレーマーはよくいます。

そんな時には、「逆質問」してやると、不当な要求があぶり出され、相手のほうがタジタジになります。具体的な要求を言えば、恐喝未遂にもなりかねないのです。

 

テクニック6
反対せずに異論を唱える

承認欲求の充足「賛同の呈示」

会議の場で、A案とB案があり、A案に賛成な人が圧倒的多数の時、ひとりだけB案に賛成してA案に真っ向から反対すると、みんなから袋叩きに遭いかねません。

また、上司が主張する意見に、その場で部下が異論をさしはさんだりすると、上司はメンツにかけても、その部下を攻略しようとムキになったりするものです。

器量の小さい上司ほどそうなります。

会社の中では、自分の意見のほうが絶対正しいから──などと思っても、うかつに真っ向から反対すると、敵を作ります。そして浮かばれなくなるのです。

人は誰でも、自分の意見や主張に反対されると気分を害するからです。

そして相手を嫌うようにまでなりますから、反対するとろくなことはないのです。

上司から、部下としての意見や感想を求められた場合には、まずこう言いましょう。

「私はいいと思いますね」
「なるほど、それはそうですね。納得です」
「私ももちろん、みなさんと同じくA案に賛成です」

などと、はじめに賛同を表明します。そうすることで、相手は安心するからです

もちろん、表向き賛成を表明しているのですから、悩ましげな態度は、微塵も出してはなりません。本音が見透かされるからです。

とにかく、上司の意見には、あからさまに反対と言わないことが肝心です。

反論したい場合には、「賛成ですが、ひとつ質問させてください。こういう場合はどうなるのでしょうか?」などと、不審点や納得のいかない部分だけを尋ねるようにすべきです。

上司の返事がトンチンカンでも、あくまで賛成のスタイルは変えずに、さらに追加の質問をすればよいだけです。賛同者には親切に説明してくれるはずでしょう。

しかし、そのへんまでです。しつこい質問は賛同していないことになるからです。

 

テクニック7
皮肉屋やイヤミな人への切り返し法

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ディスペーシング法「防波堤」 

正面切っての攻撃はしてこずに、言葉の端々にイヤミなセリフをまぶして、後味の悪い不快な気分にさせる人がいます。

はじめは、羨ましいと言わんばかりに、こちらを持ち上げながら話しかけてきます。

そのため、真面目な人ほど、自慢や自惚れと受け取られないよう、ほめられたら謙遜し、打ち消しにかかるのがふつうでしょう。しかし、そこに罠が仕掛けられるのです。

こちらの言葉を真に受けたフリをして、そこにイヤミなセリフをまぶしてくるのです。

そしてその効き目を愉しむという、陰険な性癖が見てとれます。

こんな人は、他人の幸福を妬んでいるだけですから、相手にするだけヤボなのです。

同僚A「すごいわあ! マンション買ったんですって? いいなあ、夫婦共働きの人は」
同僚B「いえいえ…(汗)。マンションたって中古ですよ、中古…」

同僚A「中古だって、立派な財産じゃない。すごいなあ」
同僚B「でも、ローンは30年あるし…(汗)、駅からも遠いし、大したことないですよ」

同僚A「 あ、そうかあ。ローンがあるんだー。それは大変ですねえ。ご主人はガテン系のお仕事だから、怪我とかしたらアウトですもんねえ。心配ですよねえ…」

同僚B「そ、そうなのよ…(汗)。た、大変なのよ、もう………(不快指数100%)」

こんな手合いに、余計な謙遜や打ち消しをするから、手玉に取られてしまいます。

余計な情報を与えずに「それが何か?」「別に」を使って、防波堤を築くべきなのです。

同僚A「すごいわあ! マンション買ったんですって? いいなあ、夫婦共働きの人は」
同僚B「それが何か?」

同僚A「いやあ、すごいなと思って。新築なの? 何年ローン? 何階なの?」
同僚B「別に……。大したことじゃないから……」

同僚A「え……そうなんだ……(がっかり)」

 

テクニック8
意地悪な人への切り返し法

ディスペーシング法「はぐらかし」

他人を傷つけるのが嬉しくてたまらないといった意地悪な人がいるものです。

他人をへこまして、自分が優位にあることを確かめないと気がすまない人なのです。

こんな人も、前項の「それが何か?」「別に」のセリフで、撃退するのが一番なのですが、次々と一方的に意地悪を言ってきますから、防ぎきれない場合もあるでしょう。

そんな手合いを相手にする時は、おちょくりの相づちではぐらかし、的外れの話題であることを悟らせて、一気に突き放すのが効果的になります。

同僚A「ねえ、おたくのご主人、一流大企業のエリート社員だったわよね」
同僚B「え? そ、そんなことはないけど…(汗)。それが何か?」

同僚A「お仕事、大変なんだろうなって思うの。毎晩お帰り遅いんでしょ?」
同僚B「そ、そうね…まあ、だけど、まあ、別に…(汗)」
同僚A「 テレビで見たけど、毎晩遅く帰ってくる旦那の86%が浮気の経験者ですって。しかも、深入りするケースが、そのうち35%だって」

同僚B「 そ…、そうですか…(汗)。で、それが何か?(汗)」

同僚A「 だからさー、あなたも、オンナを磨いとかなきゃ、駄目よって話よ」
同僚B「 あ、ああ、なーるほどー。そりゃあ、どーも。おーほっほっほーっ」

同僚A「え?…………………(冷汗)」

まともに取り合う気がないことをはっきり示してやると、仕掛けてこなくなるのです。

 

テクニック9
面と向かって悪口を言ってくる人への切り返し法

ディスペーシング法「沈黙」

他人を挑発して怒らせるのが趣味のような人には手を焼きます。

「お前のさっきのプレゼンはひどかったなー。市場分析なんて幼稚園レベルだったぜ」
「だせえなー、お前のそのスーツ! そんな恰好で得意先回るから駄目なんだよ」

こんなセリフで、こちらを怒らせるのです。

「うるさいな、ほっといてくれよ!(怒)」などと言い返しても、待ってましたとばかりに「お前、何怒ってんだよ。人が親切にアドバイスしてやってんのに」などと、おちょくってくるでしょう。

こんな相手は、すでに紹介した「それが何か?」とか、「別に」などのセリフで冷たくあしらおうとしても執拗に絡んできます。また、前項で紹介したおちょくり相づちで「なるほどー、あっはっはーそうですかー」などとやっても、やはり追い打ちをかけてきます。

相手は何が何でも、こちらを怒らせたいからです。

挑発することで、なぶりものにしたいと思っているのです。

そんな相手の思惑に乗るのは愚の骨頂です。泥沼の言い争いになるだけだからです。

こんな悪口を浴びせられた時には、腹が立っても言い返さないことです。

まずは、フ─ッと大きく聞こえよがしの溜息をついてやりましょう。

相手を一瞬睨みつけ、「またかよ、お前」といった憐れみの表情ができれば上出来です。

両腕を肩より持ち上げて、「うーん」と伸びをする体勢で、呼吸を整えましょう。

どうしても怒りが収まらなければ、いったんその場を立ち去ることでもよいのです。

とにかく、ひと言も言い返さないことが、相手を拍子抜けさせるのです。

ひと言も発せず、無表情に相手を見下す行為は、相手に不安を抱かせます。「沈黙」は、防御のためというより、時間の経過とともに「攻撃の作用」すらあるのです。

コイツはいったい何を考えているのだろう──。

反応がないという、そのことこそが、次第に不安となって我が身に跳ね返るわけです。

 

テクニック10
取りつく島のない人に耳を傾けてもらう

説得の技法「極小依頼」

いつもイライラしながら仕事に追われている人や、不機嫌極まりない態度で仕事に向かっている人には、できれば近寄りたくないものです。

「いま、忙しいんだよ、見てわからないのかよ!(怒)」と逆切れされかねないからです。

しかし、緊急を要する事情があれば、近づいて判断や了解を求めなければならない場合もあります。

そんな時には、「ちょっとだけ」「3分だけお願いがあるんですが」などと、ほんのちょっぴりの時間を割いてもらうよう、条件付きでお願いするとうまくいきます。

部下「部長。ほんのちょっとなんですが、1分30秒ぐらい、よろしいでしょうか?」

上司「ええっ? いまかよ? いま忙しいんだよな……どれ、なんだ言ってみろよ」

部下「あの、太平洋商事さんですが、5%OFFなら70ロット受注できますが……」

上司「また、値引きか。仕方ない。5%だけだぞ」

部下「ありがとうございます。あと、これ精算書ですが、ここに承認のハンコを……」

こんな感じで、不意打ちを狙って、たたみかけると意外にすんなりOKがもらえるのです。「ちょっとだけ」という条件を付けられると、「ちょっとぐらいは応じなければ」という良心が刺激されるからです。電話営業でアポイントを取りつけたい時にも使えます。

営業マン「新しい会計ソフトについて、3分間だけご説明にお伺いしたいのですが」
先  方「どうせ、3分じゃ終わらないでしょ。いまホントに忙しいんだよ」

営業マン「 必ず3分で終わるとお約束いたします。多忙な方にはいつもそうしておりますから」
先  方「ふーん。ホントかな。じゃあ、ホントに3分の砂時計を用意しとくぞ」

営業マン「ありがとうございます。ではすぐにお伺いさせていただきます」

 

テクニック11
アルコールが入ると絡んでくる人を御する

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ディスペーシング法「回避」

アルコールが回ってくると必ず絡んでくる性癖の人がいます。

できれば、そういう人とは飲みに行かないのが一番なのですが、誘われるタイミングでそうもいかない場合もあります。

そんな人が絡みはじめてきたら、どう相手をコントロールしたらよいのでしょうか。

上司「おい、もっと飲めよ。俺だけ飲んでるんじゃないかよ。お前もいけよ、ほら」
部下「部長。申し訳ありません。私はそろそろ帰りませんと、明日が早いもので」

上司「なに、明日はどこ行くんだ? ワシは聞いとらんぞ、いいから飲めよ」
部下「はい。申し訳ありません。とにかく、今日はありがとうございました」

このように、相手が本格的に絡みはじめる前に、さっさと席を立って逃げるのが最善の策なのです。

引きとめられても、振り切って帰りましょう。酔っているのでどうせ記憶も不明瞭です。

一緒にいると絡まれるうえに、最後は泥酔状態の相手の介抱までさせられるのです。

その段階で放置したのでは、保護責任者遺棄(刑法218条)で犯罪になります。

タクシーに乗っけて運ばせようと思っても、運転手さんは泥酔者を乗車拒否できます(道路運送法13条の1)。

さっさと、一人だけ残して帰ってしまえば、上司もやがて、淋しくなって帰るものなのです。

 

テクニック12
下品で非常識な人の言動を是正する

ディスペーシング法「オウム返し」

他人を悪しざまに揶揄したり、下品な言動で顰蹙を買う人がいます。

しかし、本人はそれを、不適切な言動と認識していない場合も少なくありません。

「俺は真っ正直だからな」などと、むしろ歯に衣着せぬ自分の発言を、誇らしく思っていたりするので、勘違いもはなはだしいでしょう。

「物事をはっきりと、本当のことを言って何が悪い?」などと、得意だったりするのです。そして、周囲がドン引きするようなことを平気で言って、空気をぶち壊しにしているにも関わらず、「やった!」などと心の中で快哉を叫んでいたりするわけです。

こういう人には、発言を垂れ流させずに、逐一確認させるべく、オウム返しにして繰り返してやりましょう。

自分がどれほど不適切なことを言ったのか、いま一度発言と向かい合わせるのです。

自分の下品で醜い表情を鏡に映し出し、無理やり見せてあげる要領です。

主婦A「 鈴木さんの奥さんたら最低よ。夜中のゴミ出しは駄目よって、何度も注意してるのに平気で出すのよ。今度やったら、夜中に出したゴミ袋を、あそこの家の庭に全部戻してやらない? ね、一緒にやりましょうよ、正義のために」

主婦B「は? ゴミ袋を庭に戻す? 正義のために?」

主婦A「だってさー(汗)、ほら、思い知らせてやるのが一番いいと思うからなのよ」
主婦B「思い知らせてやるのが一番いい?」

主婦A「え? はは(汗)、じょ、冗談よ、…んなことするわけないじゃん…てば(汗)」
*      *      *
同僚A「お前さあ、課長んとこの奥さんって、すげえデブだって知ってた?」
同僚B「は? すげえデブ? すげえデブってー? それ、なに?」

同僚A「えっ? い、いや(汗)、まあ、ほんの冗談だけどさ……(狼狽)」

自分の不用意な発言を繰り返されると、たちまち居心地が悪くなるものです。

 

テクニック13
しばしば遅刻する不埒な部下の行動を改めさせる

行動習慣の是正「自己対面」

朝の出勤時に、遅刻してくる人がいます。

体調不良を言い訳にして遅れるケースが多いでしょうが、実際は前の晩飲みすぎたり、夜更かしの挙げ句に、寝坊して遅れるという情けないパターンが少なくないでしょう。

新入社員のうちは、自己管理が不徹底なためにこうなるケースが見受けられます。

いずれにしろ、ビジネスパーソンとしての自覚が足りないことは言うまでもありません。

上司から、「バカヤロー!」だの「お前なんかクビだ!」などと何度怒鳴られても、性懲りもなく遅刻が繰り返されるようだと、上司のほうがパワハラ呼ばわりされかねない状況に慄然としてしまうでしょう。

こういう人は、上司に注意され、バツの悪い思いをしても、またしばらくすると繰り返します。なかなか行動習慣が改まらないのです。

原因は、「遅刻ぐらい何だ」と深層心理でそれほど悪いこととは思っていないからです。

3回遅刻すると、1日欠勤扱いになる就業規定があった場合でも、「3回ちょっと遅刻しただけで1日分もの有給休暇がなくなっているんだから、十分すぎるほどの重い代償を払っている」などと、かえって自分の行為の正当化を図っていたりするのです。

こんな部下に、上司として口うるさく注意するのもうんざりでしょう。

情けない部下の失態に付き合わされる上司としての立場が、恨めしくさえ思えます。

こんな人の行動を改めさせるには次のように言いましょう。

上司「秋山くん。また遅刻かね。あ、理由は言わなくてもいいよ。また、寝坊なんだろ?」
部下「はいっ! まことに申し訳ございません。ご迷惑をおかけして、面目ありません」

上司「 ええと、どうしたら遅刻しないで出社できるようになるのか、これまでの原因と対策をレポートにまとめて、今週中に提出してくれるかな。私からは以上です」

部下「えっ?(汗) レ、レポートにですか? は、はい…、わ、わかりました(緊張)」

このように、重大事態と認識させ、自分自身に向き合わせるのが一番効果的なのです。

 

テクニック14
会話の途中ですぐに感情的になる相手をコントロールする

行動習慣の是正「即時指摘」

こちらの話の途中でイラつき、「いや、それは違うって」「でも、そんなの無理だろ」などと、すぐに口をはさみ、勝手に自分の話を始める人がいます。

こういう人とは、会話のキャッチボールが成り立ちません。

人の話を最後まで辛抱強く聞こうとしないのですから、会話そのものが無意味です。

ですから、誰も話しかけたいとは思わないでしょう。

しかし、ちゃんと話を聞いてもらっておかなくては困る場合もあるのです。

同僚A「 試作品サンプルの持ち出しルールを決めたけど、きみにも了承してもらいたいんだ。最後まで、感情的にならずにぼくの説明を聞いてくれるかな?」

同僚B「 なんだよ、偉そうに!(イライラ)その言い方が失礼だろ!(怒)」

同僚A「 ほら、もうイラついて感情的になってる! きみの脳はカルシウム不足なのか?」
同僚B「 なんだよ、お前がオレを怒らせてんじゃないかよ!(怒)」
同僚A「 ほらほら、その怒り方…、どう考えたって、ふつうじゃないだろう?………」

このように、怒った瞬間を、ただちに証拠として突きつけてやるようにしましょう。すると、本人は自分の欠点に気づき、次第に感情をコントロールするようになるはずです。

「怒る」という行為が、どれほど周囲を不快にさせ、社会人として恥ずかしい態度であるかを、認識させることが一番なのです。

 

テクニック15
頑固一徹で自分のやり方を変えない人物を従わせる

行動習慣の是正「こだわりへの評価」

自分で決めた仕事のやり方にこだわる人は、少なくありません。

それが合理的で間違いも起こさない、慣れていて安心できる方法だから──と信じて疑わないからです。

しかし、仕事はチームでこなしていくものなので、個人の仕事のやり方を変えてもらわなくてはならない場面も出てきます。そんな時、頑固な人ほど抵抗が激しくなるものです。

「こだわり」は自己防衛の一種なので、無理に捨てさせようとすると、身を守る鎧を剥ぎ取られるような不安に駆られるからです。

「 いやだね。やり方を変えるのは、みんなのためって言うけど、少なくともオレのためにはなっていないから、オレは今まで通りの方法でやるので、よろしく」

こんなふうに、端から拒絶されたら困ります。頑固一徹な人は、周囲からも「あの人は頑固者」「依怙地で協調性がない人」などと陰口を叩かれ、孤立を余儀なくされています。

本人も自覚していることなので、いまさら動じません。

ゆえに、職場で、「頑固な人だな」と思える人を見つけたら、むしろ、その時点で将来に備える準備を始めるべきなのです。

頑固な人には、頑固な人ならではの、いくつかの「こだわり」があります。

それを十分理解した上で、その「こだわり」を高く評価しておくことなのです。

「吉田さんのそのやり方って素晴らしいですねえ」

頑固な人は、「自分のこだわり」を評価してくれる人には、思いのほか親切にしてくれるものです。数少ない自分の理解者なのですから当然でしょう。

そんな関係性があればこそ、いざ、仕事の流れを変えるための相談をもちかければ、新しい「こだわり」も構築してくれるのです。

 

テクニック16
女性上司が男性部下を操縦する方法

行動習慣の是正「クーリッジ効果」

女性が上司になると、男性の部下たちは、たいてい居心地が悪くなります。

男尊女卑」の拭いがたい意識が底流にあるせいで、女性に指示・命令されることに抵抗があるからです。仕事を遂行する上で、男性も女性もないはずですが、慣れないうちは、「俺の上司って女だぜ」──こんな愚痴がこぼれるほどの葛藤が起こってしまうのです。

そのせいでしょうか。上司になった女性のほうも、これまた「なめられてたまるか」とばかりに、肩肘張った「突っ張りスタイル」になっているケースも少なくないのです。

中には「お前ら行くぞ、いいな!」「やれと言ったら、すぐやれよ!」などと、いきなり乱暴な男言葉で号令をかけはじめる女性上司もいるほどです。

これでは、女性上司も、男性部下も、疲れるばかりでしょう。
不幸な上下関係と言わねばなりません。

女性上司は、男性部下がもつ「男尊女卑」の意識を、逆手にとるべきなのです。

課長に就任した立花美咲です。○○さんは、上司が女だとお厭ではありませんか?

まずは、「男尊女卑」を認めた上での、男性部下を気遣う挨拶言葉をかけてやります。

男性は単純ですから、これだけでも、男のメンツを立ててくれる女性上司に一目置くでしょう。あとはタイミングよく、男心を奮い立たせるセリフをかませるだけなのです。

「○○さんて頼りになりますねえ、ありがたいわあ!」
「男らしいなあ。行動力もバツグンで!」

こんなセリフを振ってやるだけで、男性本能はみるみる目覚めることでしょう。
「カッコイイところを見せてやろう」「守ってあげよう」などとなるわけです。

ちなみに、新しい女性の存在が、男性を活気づける心理作用は「クーリッジ効果」と呼ばれます。うまくオスを焚きつけましょう。

 

テクニック17
マイナス面が多い気弱な部下をフォローする

行動習慣の是正「ピグマリオン効果」

仕事でミスが多く、成績も冴えない部下をもつと、うんざりさせられます。

そんな部下は、自らの負い目もあってか、態度も自信なさげで元気もありません。

「おはよう!」と朝一番に声をかけても、「おはよ…ござ…」と消え入りそうな挨拶を返します。

「だから駄目なんだよ!」などと怒鳴りつけたくなるでしょうが、逆効果です。

余計に落ち込み、出社拒否症にでもなったら、パワハラ行為が問題視されかねません。

上司の役割は、部下をヤル気にさせることです。追い込んで鬱にしたのでは失格です。

人がヤル気をなくしたり、自信をなくすのは、自分が評価されていない──というケースが一番多いのです。自己肯定感が低くなるため、すべての面で及び腰にもなるわけです。期待を込めて、丁寧なフォローを続けてやると、次第に効果も上がるのです。

心理学には、有名な「ピグマリオン効果」というのがあります。

キプロス島の王ピグマリオンが、象牙で作った乙女像に期待を込めて願っていると、人間になった──というギリシャ神話にちなんでつけられた心理作用です。

きみは仕事が丁寧でいいね

慎重で手堅いのが、きみの長所だ

こんなフォローを続け、期待をかけていれば、やがて実を結ぶというわけです。

周囲の関心が、労働者の生産性向上に寄与する「ホーソン効果」もはたらくでしょう。

 

テクニック18
無茶な目標を押し付けてくる上司の要求を下げさせる

説得の技法「アンカーリング効果」

ヒラメ型上司は、自分の部下のことよりも、自分の上の上層部に目が向いています。

上層部の受けがよくなることだけを考え、部下には過大な要求を押し付けます。大きな目標値を部下に与えれば、それなりの実績になる──とタカをくくっているわけです。

しかし、達成不可能な過大な目標は、それゆえに形骸化して無意味なものになるでしょう。できっこないのですから、モチベーションは下がり、見向きもされなくなります。

上司が定める数値目標は、手の届く範囲にしてもらわなければ困るのです。

上司「今年は、前年比20%アップを目標にしてくれよな。期待してるぞ」

部下「 部長。お言葉ですが、今年は競合品もふえましたので、前年比で80%も行けばオンの字かと思います。もはやバージョンアップでもしないと、うちの製品は下降線をたどるいっぽうなんです。あのマーケティングの父コトラーが言うように、うちの製品は、すでにライフサイクルが尽きかけているんですよ」

上司「な、なんだって、それじゃ、前年比マイナスじゃないか、そんなことが…(汗)」
部下「しかし、他社も目標値をどんどん下げてますよ。飽和状態なんです、現状は」

上司「な、なんとか、そこを、せめて前年並みに、100%にしてくれないか?」
部下「無理ですね。前年比80%だって、苦しい数字なんですよ」

上司「う、うーん…(汗)。じゃ、きみ、前年比90%にならないか? なんとか…」
部下「厳しすぎますね。90%なんて、とても届きませんよ」

上司「なあ、きみ。役員のところに数値目標をもって行く私の身にもなってくれよ」
部下「じゃあ、85%でいかがです? 達成は難しいですが、これなら妥協できますよ」

上司「わ、わかった。じゃあ、前年比85%で予算を組んでみよう」

最初に80%という数字をドンと打ち出せば、それが船のアンカー(錨)のようなはたらきで、そこからの狭い範囲での交渉になるわけです(「アンカーリング効果」)。

値引き交渉では、大きな威力を発揮します。

 

テクニック19
面従腹背の部下の行動を改めさせる

行動習慣の是正「恫喝」

上司の立場から、部下を見ていれば、面従腹背の部下というのは、だいたい見当がつくものです。

部下のほうは、バレていないと思っていても、部下の会話の際の、「バーバル(言語的要素)」と「ノンバーバル(非言語的要素)」の不一致が見てとれれば、「ああ、こいつは、返事だけで、実際にやろうとは思っていないな」などとわかってしまうのです。

口から出る言葉のバーバル要素は、「了解しました。今日から実践いたします」などであっても、顔の表情、態度、身振りといったノンバーバル要素が「やらねえよ、そんなもん」という本音を覗かせているからなのです。

嘘がバレるのは、こういう時なのです。発する言葉は、真実を訴えているつもりでも、顔の表情や動作から、真実ではない──ということが伝わってしまうのです。

人間の目や耳は、極めて優れた感覚を有していますから、何となく第六感でぴーんと来た──などということが、真相をつかんでいることも少なくないのです。

人に嘘をつく際には、このへんに十分注意を払わなければならない──ということでもあるわけです。

さて、面従腹背が疑われるような部下がいた場合には、まずは、動かぬ証拠をつかまなければなりません。

証拠がないと、潔白を主張されたら困ります。

動かぬ証拠をつかんだなら、こういう輩は、ガッチリ締めてやるべきでしょう。

上司「 おい、どういうことなんだよ、これは!(怒) バレバレなんだよ!(怒)、お前は俺をなめてやがったな、コノヤロウ! どう落とし前をつけるんだよ!(怒)」

このように、一度だけ激しく怒りを表明することが大切です。

面従腹背を行う人間は、相手をなめているからです。

ふだんは温厚そうに見えても、怒ると怖いぞ──ということを知らしめておきましょう。

 

テクニック20
ホウレンソウをしない「仕事の出来る部下」を更生させる

行動習慣の是正「エンハンシング効果」

仕事で実績を上げている部下は、上司をなめてかかっているものです。

オレのおかげで、上司の面目も立っている──という思いが部下にはあるからです。

こんな部下は、ヒラ社員時代の上司が、大して実績も上げていなかった──などと知るや、なおさら上司を見くびることにもなるでしょう。

上司が無能だと、部下は上司にホウレンソウ(報告・連絡・相談)さえしなくなります。無能な上司からの、トンチンカンな指示や命令を受けると、ヤル気までもがそがれてしまう──と考えているからです。

これは、実際その通りで、心理学では「アンダーマイニング効果」と呼ばれる現象です。

勉強のできる子に、周囲があれこれ勉強の仕方をこまかく指図するとヤル気がなくなったり、テストで100点を取るたびにお小遣いを渡すと、いままで好きで勉強していたのに、お小遣いが目的化して、かえって意欲が減退していく例などが知られています。

しかし、部下がホウレンソウをしたくないというのも、上司としては困ります。

かといって、無理やり強制すれば、ヤル気も失うでしょう。こんな場合には「アンダーマイニング効果」の逆バージョンである「エンハンシング効果」を使うとよいのです。

上司「 山崎くん。優秀な成績を上げてくれてありがとう。今回も難しいQ社との交渉によく成功したね。さすがだよ。ところで、どんな方法でアプローチして契約までこぎつけられたのか。そのへんの秘訣や苦労話を、ぜひ聞かせてくれないだろうか?」

部下「えっ? 秘訣や苦労話ですか? そりゃ、いっぱいありますけど……」
上司「じゃあ、ぜひ、私の勉強のためにも、いろいろと教えてくれないかな?」

部下「いいですよ。ええと、どこから説明するのがわかりやすいかなっと…(得意顔)」

このように、上司が教えを請う形をとってやると、部下は自尊心をくすぐられて、自分のほうから喋りたがります。「エンハンシング効果」とは、もともとヤル気(内発的達成動機)のある人には、外部の称讃(言語的報酬)が一番効くということなのです。

 

テクニック21
生意気な相手を手玉にとって動かす方法

行動習慣の是正「反発心」

こちらのほうが立場や地位が上のはずなのに、タメグチに近い言葉遣いをしてきたり、こちらのミスや失態を見てとるや、大袈裟に騒いで恥の上塗りを謀ってくる人がいます。

自分のほうが下であることが気にいらず、背伸びをしてこちらと対等か、あるいは自分のほうが本当は優位にあるとばかりのアピールをしたいわけです。

こういう輩に注意をしても「えっ? そんなつもりで言ったんじゃないのに」とか、「誤解ですよ。そんなことにこだわってたんですか?」などとはぐらかされます。

こちらの器が小さい──と言わんばかりのセリフに、なおさら業腹にもなるわけです。

こんな相手は、生意気なプライドを逆手に取ってやったほうがよいでしょう。

「TOEIC800点以上の岡本君でも、明日までに翻訳するのは無理だよな?」
*      *
「 営業力バツグンの栗原君でも、大手のS社から注文を取るのは難しいよな?」
*      *
「 いくら仕事の早い松本君でも、明日までに報告書を書くのは厳しいよな?」
*      *
「 いくら酒豪の原口君でも、このマオタイを一気に飲み干すのは、限界だよな?」

ほめてけなされると、「反発心」がムラムラわいてくるのが、生意気クンです。

得意分野」と自負しているところを刺激して、厄介な仕事をどんどん押し付けてやりましょう。

 

テクニック22
相手の挑発に乗せられない方法(その1・「体感コントロール法」)

ディスペーシング法「体感コントロール法」

皮肉やイヤミを言われると、誰でもムッとするものです。
罵倒されると、瞬時にこちらも頭に血が上ります。

ここで、怒り出して向かって行くと、相手の思う壺にハマり、あとは泥沼の戦いに引きずり込まれかねないわけです。

かといって、じっとこらえて我慢するばかりでも、ストレスが溜まるだけです。

この第1章では、イヤな相手、苦手な人物に対しての攻略法をお伝えしてきました。

相手に真っ正面から、力ずくでぶつかっていくのではなく、さまざまな心理テクニックを使って巧みに攻撃をかわし、切り返していくという方法論でした。

ここでは、イヤな相手、苦手な人物と対峙した時にも、興奮したり、緊張しない方法について、もう少しだけ解説しておきます。

瞬時に怒りを鎮め、冷静になる方法で、これを「体感コントロール法」と呼びます。

ドイツの精神医学者J・H・シュルツ博士が考案した自己催眠誘導法である「自律訓練法」をベースにした興奮・緊張緩和法なのです。

まず、私たち動物は、敵と遭遇すると、自律神経系の「交感神経」が刺激され、たちまち興奮・緊張を余儀なくされます。「闘うか・逃げるか」の切迫した状態だからです。

そのため、すばやく行動できるよう全身の筋肉が硬直し、呼吸は浅く、心臓の拍動も早まり、発汗作用が増していきます。瞳孔も拡大し、状況を見極めようと目も見開きます。

この状態は、とても不快です。そして冷静な思考力・判断力も失われがちです。

そこで、体感によって、脳をコントロール(交感神経を鎮め、リラックス状態ではたらく副交感神経を刺激する)していく必要があるわけです。

脳をリラックスさせるには、まずは、ゆっくり深呼吸することです。

次いで体から力を抜くようにしましょう。そして目を細め、近くを見ていても、遠くを見ているようにしていきます。この時、手の平に汗をかいていたら、すかさず拭います。

こうすることで、いまは「平常時」という脳への信号を送り、副交感神経を刺激するのです。すると、だんだん心が落ち着いてくるのがわかるはずです。

 

テクニック23
相手の挑発に乗せられない方法 (その2・「意識コントロール法」)

ディスペーシング法「意識コントロール法」

前項の要領で、全身の反応が落ち着いてきたら、今度は体感だけでなく、意識作用によって、興奮や緊張を飛ばすように心がけます。これが「意識コントロール法」です。

たとえば、相手の毒のある言葉を客観的かつ分析的に聞くように努めましょう。

「この人は、怒り出すと滑舌が悪くて聞き取りにくいなあ」
「この人は、ボキャブラリーが乏しい悪口ばかりだなあ」

このように、目の前の人物が吐くセリフを、赤の他人の遠吠えのように、批判的に観察しながら聞いていると、心はだんだん落ち着いていくのです。

自分に投げつけられたセリフという受けとめ方を意図的にしていないからです。

さらに、目の前の人物を、何かの奇妙な物体として客観的・分析的にとらえるのも有効です。顔のパーツや服装などの部分部分を、目を細めながら批判的に観察していきます。

このように、意識の集中に励むと、不思議と心は落ち着き、平常心に近づけるのです。

神岡 真司著『思い通りに人をあやつる101の心理テクニック』より抜粋

【書籍紹介~目次】

プロローグ
第1章
イヤな相手・苦手な人物を攻略する
1苦手な人物にスムーズにアプローチする
2会話が弾まない苦手な人物の心を開かせる
3激昂するパワハラ上司や凶悪クレーマーを黙らせる
4謝罪時に相手の追及を緩和する
5不当な要求を実現しようとする相手に乗せられない方法
6反対せずに異論を唱える
7皮肉屋やイヤミな人への切り返し法
8意地悪な人への切り返し法
9面と向かって悪口を言ってくる人への切り返し法
10取りつく島のない人に耳を傾けてもらう
11アルコールが入ると絡んでくる人を御する
12下品で非常識な人の言動を是正する
13しばしば遅刻する不埒な部下の行動を改めさせる
14会話の途中ですぐに感情的になる相手をコントロールする
15頑固一徹で自分のやり方を変えない人物を従わせる
16女性上司が男性部下を操縦する方法
17マイナス面が多い気弱な部下をフォローする
18無茶な目標を押し付けてくる上司の要求を下げさせる
19面従腹背の部下の行動を改めさせる
20ホウレンソウをしない「仕事の出来る部下」を更生させる
21生意気な相手を手玉にとって動かす方法
22相手の挑発に乗せられない方法(その1・「体感コントロール法」)
23相手の挑発に乗せられない方法(その2・「意識コントロール法」)
第2章
ノーをイエスに変える
24不意打ちの要求や質問でイエスと言わせる
25希少価値を強調してイエスと言わせる
26ライバルを蹴落としてイエスと言わせる
27ノーが言いにくい状況を作ってイエスと言わせる
28相手の知性に鑑みてイエスと言わせる
29「アレレ?」と思わせてイエスと言わせる
30ほどほどにけなすことでイエスと言わせる
31憐れみや同情を誘ってイエスと言わせる
32ロジックの枠をはめ直してイエスと言わせる
33比較させることでイエスと言わせる
34驚愕させてイエスと言わせる
35優柔不断で決断できない人にイエスと言わせる
36大義名分を押し立ててイエスと言わせる
37仮想のイメージを膨らませることでイエスと言わせる
38仮定の選択肢で誘導してイエスと言わせる
39「お願いされる側」の立場に回ってイエスと言わせる
40イエスと言うのが当たり前と思わせてイエスと言わせる
41交渉の場を「ホーム」にしてイエスと言わせる
42本質を見誤らせてイエスと言わせる
43引っ込みがつかない形に誘導してイエスと言わせる
44小さなお願いを呑ませてから、次々とイエスと言わせる
45最初の要求を断らせてから次の要求にイエスと言わせる
第3章
意中の相手のハートを撃ち抜く
46戦略的に心理ステップを踏む
47自分の第一印象を操作する
48自分のイメージを作るワザ
49単純接触で距離を縮める
50価値観を共有して安心させる
51お互いを補い合う関係になる
52「実は……」と自己開示する
53お願いすることで優越感をくすぐる
54ドキドキさせて意識させる
55論理より感情に訴える
56禁止することで注意をひく
57すでに嫌われてしまっている場合の裏ワザ
58「これはホンモノだ!」と感心させる
59相談に乗ることで依存心理を深める
60ネガティブ・コンテンツ連合を組む
61ボディタッチで親密度を深める
62暗示誘導して「予言者」になる
63「自分を理解してくれる人」と思わせる
64「また会いたい」と思わせる技術
65「常識的な判断」でひと押しする
66反対・障害を作って「錯覚」を生じさせる
67風評効果を利用する
第4章
自分のペースに乗せて相手を丸め込む
68こちらへの好奇心を刺激して相手を丸め込む
69不安をあおって相手を丸め込む
70ターゲットを定めて「極小のお願い」をする
71アンケート調査をうまく操作する
72「コレ、よかったらどうぞ」の小ワザで丸め込む
73「ナンバーワン効果」で相手を丸め込む
74「あなたは○○ですね」と評価を定めて相手を丸め込む
75「それは無理です!」「できません!」とあえて断る
76「嘘の不可抗力」を用いて丸め込む
77「時間差」を設けて謝罪することで丸め込む
78「もう売り切れました」「すでに終わりました」で丸め込む
79「どのぐらい?」と時間を質問することで丸め込む
80「何とかなりません?」と相手に相談することで丸め込む
81数字データを示して相手を丸め込む
82「もしかして」「たとえばの話」として本音を探り出す
83他人をダシに使ってほめて丸め込む
84「ここだけの話ですが」と言って相手を丸め込む
85煮え切らない相手を二者択一式で丸め込む
86会議で主導権を握って相手を丸め込む
87「全員一致効果」で相手を丸め込む
第5章
どんな相手でも手玉に取って攻略する
88「時間に厳しい人」を手玉に取る
89「プライドの高い人」には「助けてください」と頼む
90「ほめられ慣れている人」をほめる
91「わがままな人」には「○○の立場になってみろ」と迫る
92「失意の人」には「どうしたの?」と寄りそう
93「真面目な人」の「罪悪感」を消す
94「ほめ上手な人」には「ほめ返す」
95屁理屈を言い続ける「非論理的な人」を手玉に取る
96理不尽に「毛嫌いしてくる人」を手玉に取る
97幸せアピールをしたがる「ウザイ人」を手玉に取る
98「絶対儲かりますから」と絡みついてくる人を手玉に取る
99「自分の話ばかりする人」を手玉に取る
100「論理的に思考する人」を手玉に取る
101「占いやオカルトにはまっている人」を手玉に取る
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