元ディズニーの敏腕マーケッター直伝!どんな人でもマネできる、価値あるサービスの届け方とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
0a3df12211f0dc349b3d14e6773c85f9_s

 

・どうすれば自社のサービスに顧客が満足してくれるのか…

・最初は買ってくれるのに、リピート客が続かない…

・宣伝や広告が売上と結びつかない…

 

自社の商品やサービスに自信があるのに、お客様が増えないのは辛いことです。

もし何度もリピートしてくれたなら、とても嬉しく仕事に気合が入るのに。
でも、なかなかお客様が増えてくれない…

 

今回は、そんな悩みを抱える方必見!元ディズニー敏腕マーケッター直伝の、あらゆる業種で使えるマーケティングの極意をご紹介します!

 

今回この極意を教えてくれる嶋田亘克氏は、大学卒業後にオリエンタルランドへ就職し、東京ディズニーランドのマーケティング戦略企画・立案・実施を手がけられてきました。

 

長年ディズニーの集客を専門に取り組まれる中で、「ディズニーだからできるんでしょ?」と言われることが多かったのだそうです。

 

そこで、「ディズニーの看板を外して勝負してみたい! 」と居心地のいいオリエンタルランドを飛び出し、ディズニーで磨き上げた「絶対集客の法則」が異業種でも通用するのだと身を呈して証明することを決意されました。

 

そして、圧倒的な結果を次々と打ち立てていったのです。

 

あるメーカーでは、全くのゼロから始めた健康食品の通販事業を3年で10億円規模の売り上げにまで成長させ、あるアーティストのファンクラブ事業では、1年で会員数を120%まで増加させ、解約者数を前年の半分まで抑えることに成功しました。

 

さらに、来院者ゼロの日もあるような整骨院を、予約の取れないほどの人気整骨院にまで育て上げました。

 

実績は更なる評判を呼び、ディズニーの集客をベースにしたマーケティングの講演実績は2000社以上。過去20年間に複数の企業で集客し、生み出した売上はおよそ3000億円以上に及ぶと言われています。

 

これらは全て、ディズニーで磨き上げた「絶対集客の法則」を適用した結果だったのです。

 

そんな嶋田氏は「成功にも失敗にも全て理由があり、その理由を組み合わせていくことで、一般的なマーケティングという概念だけでは括りきれない集客の法則が浮かび上がる」と話されています。

 

では、その法則とはどのようなものなのでしょうか?

 

そこには3つの重要なポイントがあると言います。

 

それが、「理念と事業価値」、「集客のための基本テクニック」、「ワクワク働く人づくり」の3点です。

 

これら3つのポイントを満たすことで、お客様の心を動かし圧倒的な集客ができるというのです。

 

ここで、3つのポイントのうちのひとつ「理念と事業価値」について見てみましょう。

 

そもそも、ビジネスとはお客様に「価値」を提供すること。そして、「価値」とは提供を受ける人によって、あるいは、時や状況によって、大きく変動するものです。
嶋田氏はその重要なポイントを見落としたがために、大きな失敗をしてしまったのだそうです。
嶋田氏が入社して3年経ったころ、ある大手家電メーカーを対象に10万人ほどのターゲットが見込まれるキャンペーンを企画しました。それは、旅行会社と綿密な打ち合わせのもと計画され、1泊2日の東京ディズニーランドツアーを破格の値段で提供するというものでした。

 

このツアーの紹介チラシを賞与と同時に配布することで、完売間違いなしと思われていた企画だったのです。

 

しかし、フタを開けてみると応募はたったの3件。

 

あまりの結果に、嶋田氏は全身の力が抜けるのを感じたそうです。

 

「売る側である自分目線では価値があると思い込んでいたものの、配布された方にとっては価値を感じるものではなかった。売れなかった理由は、これ以上でも、これ以下でもないのです。」

 

嶋田氏は当時を振り返りこのように仰っています。
どんなにお得な商品でも、必要のない人にとっては、安いかどうか以前の問題なのだと。

 

この経験から嶋田氏は、「お客様が求める価値」について深く考えるようになりました。

 

そして、そうして考えられた本当の価値の届け方が、多くのお客様の共感を呼ぶノウハウとなっていきました。

 

あなたも嶋田氏直伝のディズニーのすごい集客を身に付けて、心からお客様を喜ばせる方法を理解してみませんか?

 

早速読み進めていきましょう!

はじめに
ディズニーの成功の秘訣は「顧客満足度」だけではない!
商品力があるのに潰れてしまうお店や会社の特徴とは?
マーケティングを超えたディズニーの集客の法則
なぜ、ディズニーは「商売の原則」にこだわるのか
本書で私がお伝えしたいこと
第 1 章集客マーケティングを始める前に知るべきこと
~ビジネスの原理原則を教えてくれた大失敗~
それは一本の電話から始まった
2年連続の前年割れを建て直すには?
大手家電メーカーの社員10万人をターゲットに
「お客様が求めている価値」を真剣に考えていますか?
「商品の価値」は受け取る人、状況によって変わる
マーケティングの師・福田博之さんとの出会い
おでんとフランス料理で学んだ「モノの価値」の神髄

 

はじめに

2015年11月、新聞各紙にユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の10月の来園者数が過去最高を更新し、同月の東京ディズニーランドを初めて抜いたという記事が新聞紙面を賑わせました。

九州では開業以来18年間営業赤字だったハウステンボスの集客が増加し、黒字化するなど、ここ数年のテーマパーク産業の躍進は目覚ましく、同じ業界の出身者として自分のことのように嬉しく感じています。

しかし、USJと比較されたのは東京ディズニーランド単体の集客で、東京ディズニーシーを加えた東京ディズニーリゾート(TDR)の入園者数では大きな差がついたままです(→次の図表参照)。年間で比較しても、USJとハウステンボスを足した入園者数よりも大幅に上回っているのです。首都圏という商圏人口を考えても、この実績には目を見張るものがあります。

2017年度には東京ディズニーランドが開業34周年、東京ディズニーシーが16周年を迎えますが、6期連続での最高益更新が見込まれるなど、今なお成長を続けています。これだけの長きに渡り、ディズニーのテーマパークが成長を続ける秘訣は一体どこにあるのでしょうか?

 

ディズニーの成功の秘訣は「顧客満足度」だけではない!

多くの方が、ディズニーのテーマパークの成功の秘訣は高い顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)にあると考えているでしょう。書店に行ってもディズニー関連の書籍コーナーが展開され、「サービス」「おもてなし」といったテーマの書籍で大半が占められています。実際、経営者やビジネスマンにディズニーから何を学びたいかと聞いてみると、高い顧客満足を生み出す秘訣を学びたいという方が、私の周りでも最も多いのも事実です。

では、そういった書籍に書いてある方法を取り入れ、顧客満足度を高めていくと、本当にディズニーのテーマパークと同じようにリピーターが増え、売上は上がっていくのでしょうか……?

答えは、限りなく「NO!」です。

一定レベルまでは顧客満足度を上げることで売上が上がります。しかし、品質を上げるために投下できるお金や時間には限界があります。もちろん、人のパフォーマンスを上げるにしても教育や意識改革が必要ですし、人により能力の差が出てしまうのも実状です。やみくもに取り組んでも、結果が出る前に現場が混乱するケースもよくある話です。

かといって、商品力や品揃えだけを高めればいいのでしょうか?

当然それも答えは、「NO!」です。

 

商品力があるのに潰れてしまうお店や会社の特徴とは?

ハーゲンダッツ、オールドネイビー、Boots、カルフール、テスコ、プランタン……。一度は名前を聞いたことのある外資系の企業ばかりだと思うのですが、すべての企業にある共通点があります。

それは日本で一時的にブームを生み出しておきながら、全て日本から撤退している点です。日本に入ってきた当時はあまりの人気でメディアに取り上げられていたのに、なぜ撤退という判断になってしまったのでしょうか?

撤退こそしていませんが、開業時は都内で2~3時間、地方では8時間もの待ち時間がニュースで取り上げられた「クリスピー・クリーム・ドーナツ」も、サービスや商品の方針転換を目的に、大規模な閉店を一斉に行いました。

最近は外資系企業に限らず、「あそこ美味しかったのに……」「あの会社はサービスがよかったのに……」と、評価が高かった会社や伝統のあるお店が倒産や廃業に追い込まれる事例を身近に感じるでしょう。

お客様の満足度は高いのに潰れてしまうお店や会社と、そうでないお店や会社。

一体、何が違うのでしょうか?

何を意識すればディズニーのテーマパークのように、品質も評価され、30年以上経っても集客も売上も成長できるのでしょうか?

そこで、まず一つの表を見ていただきたいと思います。

これはディズニーのテーマパークの入園者数の推移です。

ディズニーは、放っておいてもお客様が来ると考えている方がたくさんいらっしゃると思います。実際、私も在籍中は「営業なんてしなくていいでしょ」と、何度言われたかわからないほど、社外の多くの方から同じ言葉をかけられました。

しかし、見ていただくとわかると思うのですが、右肩上がりのイメージが大きいものの、実は意外に単年レベルで見て行くと凸凹しているのです。

ディズニーのテーマパークが集客で苦戦しているという報道がされることはほとんどなく、仮に来園時に空いていたとしても、「空いててラッキー」としか思わなかったでしょう。しかし、単年毎の集客実績として見ていくと、苦戦したのがわかる年が結構あることに気づいていただけると思います。

また、ディズニーのテーマパークの集客は、新たに導入されるイベントやショー、アトラクションといった大きな話題の提供で作られていると思われがちですが、大規模な投資がない年も多くあります。

実際はターゲットのエリアや属性を絞り込んだ細やかな営業施策の積み上げと、定期的な大型投資の両輪。いうなれば、計画的な成長戦略と短期的な拡大戦略の組み合わせにより集客が作られているのです。

つまり、ディズニーのテーマパークにおいても他の企業と同じように、日々どうすれば集客が伸びるか議論し、PDCAが回され続けているのです。特に私の在籍していた時期は、東京ディズニーシーの開業により、今までの年間1500万人規模の集客から、2500万人規模の集客を実現させるという大きな課題がありましたので、日々チャレンジの連続でした。

 

マーケティングを超えたディズニーの集客の法則

単純にパークが一つから二つになるのだから、集客は倍近くなって当たり前と今でこそ考える方もいらっしゃいますが、今までと同じ数のお客様が、どちらかのパークを選択するだけでは集客は伸びません。新しくできた東京ディズニーシーへゲストが集中し、東京ディズニーランドが空洞化するのではないかという議論さえしていた時期もありました。

そこで、対策として主に次のような施策の検討を重ねました。

①今まで年に1回だった首都圏のお客様に、どうすれば2回以上来てもらえるか?

②地方の方には、いかにして宿泊日数を増やし、複数日パークに入っていただけるか?

③首都圏、地方問わず、今まで来たことのない人をどうすれば集客できるか?

とにかく、あれだけの規模のテーマパークを同じエリアで2つ運営するという、誰もが体験したことのないことを実現させるために、普通では考えられないほど多くの企画を考え、集客施策として導入しました。

当時取り組んだこと全てが成功したわけではありません。

しかし、成功にも失敗にも全て理由があり、その理由を組み合わせていくことで、一般的なマーケティングという概念だけでは括りきれない集客の法則があることに気づいたのです。

私がディズニーを退職しようと決意したのも、自ら得た集客の法則を、ディズニーという絶対的なコンテンツがない、全く違う業界で役立てたいという想いからでした。なぜなら、ディズニーのテーマパークでその法則をいくら使い続けても、ディズニーのコンテンツがあるからこそ集客が成立している構造を抜け出すことができないからです。

この法則の最大の強みは、自社の価値を、ディズニーと同じように絶対的なコンテンツに育て上げられることにあります。

全くのゼロの状態から健康食品と無関係の企業で始めた、健康食品の通販事業では3年で10億円規模の売り上げを達成することができました。

また、2年ほど会員数が頭打ちだったアーティストのファンクラブ事業では、大きく活動スタイルを変えたわけではないのにもかかわらず、この法則を用いることで、1年で会員数が120%増加し、解約者数が前年の半分以下に。

かたや、今まで患者さんの1日平均が20名程度で、来院者ゼロの日さえもあった整骨院が、女性専門の分院まで出しても予約が取れないほどになったりと、驚くべき結果を出してきました。

規模の大きな話や継続的な話だけでなく、目標100名程度だった空港の新路線就航イベントに600人を超える来場があったり、離島からの完熟パイナップルの宅配事業では、今まで観光に来た際に現地で申し込む人しかいなかったのが、WEBで注文が入り出し、飛行機に乗り切らないほどの注文が発生する日が出るほどでした。

ほかにもオーナー一人のダイビングショップでは、一切の広告をやめても、口コミだけで予約が埋まるようになりました。直近では、行政が管理して赤字続きだった日帰り温泉の集客に取り組んだりと、業種や業界に関係なく、安定した結果を出し続けています。

私がこの20年に複数の企業で集客したことで生み出した売上を計算してみると、およそ3000億円以上に及ぶということがわかり、自分自身が一番びっくりしたほどです。

 

なぜ、ディズニーは「商売の原則」にこだわるのか
f12d4ae50506e1292fb157ffce21212e_s

 

 

 

 

おかげさまで、私はこの法則を使い、たくさんの方々と関わり、集客を増やすお手伝いをさせていただきました。ディズニーの集客をベースにしたマーケティングの講演実績は2000社以上に及びます。

しかし、昨今のSNSやWEBには、どれほどの実績があるのかわからない人が主催する「簡単に儲ける方法」「お金をかけずに集客できる広告」などの宣伝が乱立し、根拠のないエビデンスとともに「無料メルマガ」「無料セミナー」の登録が横行しています。

お金をかけずに儲けるといいながら、その本人がお金をかけて広告をしている時点で、少し考えれば、その先にビジネスへの誘導があるのはわかるのに、登録する人が後を絶たないのでこのような手法が乱立するわけです。挙句は、「儲ける講師を育てるための講師講座」まで増加しており、主催者の意識を疑わざるをえません。

こんな時代だからこそ、商売の原則に忠実にのっとった「ディズニー流集客の法則」を一人でも多くの方に伝えたいと思っています。

なぜなら、社長一人の会社でも、上場会社のような大きな組織でも、志のある商品やサービスを抱える方々には、集客増を必ず成し遂げられる要素がたくさん詰まっているからです。

退職から10年が経ち、時代や流行に左右されない「ディズニー流集客の法則」の普遍性に改めて気づき、これからは、私がその場にいなくても、書籍を活用していただくことで集客を増やすお手伝いをし、本当に価値のあるビジネスを行っている方が成功し、あるべき社会になる一助になればと思ったのが本書を書こうと思った一番のきっかけです。

□自分の商品やサービスに自信や誇りを持っている。
□もっと多くの人を集客したい。

□一度来ていただいたお客様にリピートしてもらいたい。
□やらなきゃいけないことはわかっているけど、何からすればいいかわからない。

□今まで集客の本を読んだり、セミナーに行ったけど成果を出せなかった。
□自社の商品を拡大したいが販促費がない。

□ディズニー関連の本はディズニーだから成功すると思っている。

このような方にぜひ一度読んでいただければ幸いです。

 

本書で私がお伝えしたいこと

本書は次のような3部構成+まとめの形を取っています。

・理念と事業価値(第1~第2章)
・集客のための基本テクニック(第3~第6章)

・ワクワク働く人づくり(第7章)
・まとめ(第8章)

集客のための絶対法則は「テクニック」ではなく、本質的なビジネス構造を作り出すことで成立します。章はどこから読み進めていただいても構いませんが、最終的に重要なのは、全体をいかに自分に落とし込んで構築していくかです。
 
瞬発力があり、簡単に取り入れられる派手な手法やテクニックを望まれる方も多いと思いますが、テクニックだけでは一過性のものにしかならないため、あえて市場のトレンドが変わっても影響が出ない基本にこだわっています。
 
特に第1章、第2章はすでに実践している方にとっては不必要と思われるかもしれません。でも、この部分こそ一番本質的ですので、改めてご自身に置き換えて考えてほしいのです。
 
継続的な集客とは、商品やサービスを必要とするお客様に、適切な方法、適切な価格で提供して初めて生まれるのです。だから、時間はかかるかもしれませんが、必ずあなたのビジネスを大きく改善させてくれる力があります。
 
そのために変化を恐れず、本書に沿ってご自身の事業や商品、サービスを見直し、行動してみてください。世界中の成功者、成功企業を見渡しても同じだと思いますが、変化を恐れずに挑み続けることこそが成功の秘訣です。

数年前に『アナと雪の女王』というディズニー映画が世界中で大ヒットしました。成功の要因がいろいろ報じられていましたが、その時に公私ともに可愛がってもらっていたウォルトディズニーアトラクションズジャパン(通称WDAJ・日本でのディズニーテーマパーク事業のカウンターパート)の方の言葉を思い出しました。

「ミスター嶋田、なぜディズニー映画はヒットすると思いますか?」

答えに悩む私に彼は答えました。

「それは毎年新作の映画を出し続けているからですよ。諦めた瞬間、成功も成長もないんです」

当時、自分のやった施策が結果を出せなかったこともあり、彼なりの応援メッセージだったと思うのですが、「やり続けること、動き続けること」こそ、以降の私自身のポリシーでもあります。

この本で書かれていることをすべて取り入れても、すぐにうまくいく人ばかりではないかもしれません。でも、大切なのはあなた自身が動き出すこと、やり続けることです。動き出すことで必ず見えてくるものがあります。その経験こそが成功の近道なのです。

 

第 1 章
集客マーケティングを始める前に知るべきこと

~ビジネスの原理原則を教えてくれた大失敗~

それは一本の電話から始まった

「えっ! 3件! そんなはずは……」

その電話が全ての始まりでした。

入社して3年目に、全社的な来園者数が伸び悩んでいた時、集客強化策として、初めて企画から運用まで全てを自分一人で行い、「これで大幅な集客増間違いなし!」と自信満々で行ったキャンペーンの結果です。

今思うと、目標もかなり可愛い数字で、これで全社的な集客低迷の底上げをしようと思っていたのもおこがましいのですが、いずれにせよ目標1000件(集客3500人)の数字を掲げたにもかかわらず、たった3件の受注(目標比0・3%)という散々な結果に終わったのです。

まずはそのキャンペーンを振り返ってみます。

 

2年連続の前年割れを建て直すには?

4f0259f138e382c0128fe62c596cfc33_s

 

 

 

 

 

 

キャンペーンを行ったのは、ちょうど西暦2000年のことでした。

前年の集客も大幅に前年割れしており、2年連続の前年割れは許されないと、集客の上積みが期待できることは、どんどん取り込んでやっていこうという全社的な流れになっていました。

私はその当時、関西から東京ディズニーランドへお越しになるゲストの集客責任をもつ営業部の大阪事務所に勤め、旅行会社と一緒になって集客を拡大する仕事をしていました。所長以外に所員は二人しかいない部署でしたので、自分が提案すれば、部門提案としてほぼ100%採用され、自分で取り組める環境にありました。

入社3年目で初めて、企画から調整、運用と全てを自分でやれるチャンスにめぐり合い、生まれ故郷である関西エリアから大規模な集客を行うことで、「地元に精通した人間は一味違うぞ」というところを見せてやると、意気込んで取り組んだのがこのキャンペーンでした。

ただ、当時の私は集客を増やすために最も大切なのは、価格を下げることだと本気で思い込んでいました。今までなかったような価格が出せれば、お客様が飛びついて集客は増えるはずだと思っていたのです。今思うと恥ずかしいのですが、当時は価格が全てとさえ思っていたのです。

とはいえ、パスポートの値段を簡単に下げることはできません。関西からとなると当時はほとんどの方が旅行会社でツアーを申し込む時代です。旅行商品を作り、販売しているのは旅行会社であって、我々は旅行会社に東京ディズニーランドの入園券を契約して売ってもらっているに過ぎません。

どう考えても、往復の交通費や宿泊代を下げないことにはツアー価格を安くすることはできないのです。かといって、入社3年目の若造が、旅行会社を回って、やみくもにツアー価格の交渉をしたところで結果は見えています。

そこで、商品を売るターゲットを絞ることと、販売できる旅行会社を絞り、一本釣りで交渉することにしました。

 

大手家電メーカーの社員10万人をターゲットに

d728b49cfde24f7ef572665ea5345331_s

 

 

 

 

 

 

まずターゲット選びからスタートしました。

私が目をつけたのは、関西に本社がある某大手家電メーカーでした。本社や工場・関連会社、取引先まで入れると、およそ10万人にアプローチが可能だったからです。偶然、大阪に転勤する前の部署で、この企業の担当をやっていたこともあり、当時の先方の担当者の紹介で、なんと夏の賞与明細の配布時に「東京ディズニーランドへの旅」のチラシを一緒に、社員に配布してもらえることになったのです。

オープンマーケットでは値段交渉もしづらいですが、ここまで明確で規模の大きいターゲットがいれば、旅行会社はもちろん、仕入先のホテルや航空会社とも交渉がスムーズです。クローズマーケットという建前のもとで、「○○○○関係者様限定特別プラン」と謳うことで先着1000組限定の格安のツアーを作ることに成功したのです。

私が旅行会社と一緒に作った商品は、舞浜にある東京ディズニーランドのオフィシャルホテルに泊まって、東京ディズニーランドの入園券が1日分、さらに大阪からの往復の新幹線もしくは飛行機がセットでなんと旅行代金が大人一人総額3万円を切る破格値のツアーでした。

普通に大阪から東京を往復するのと同じ程度の金額で、1泊2日の旅行に行けるわけですし、賞与が出て、夏の家族旅行をどうするか話をする時に、このチラシがあるわけなので、完売間違いなしと思いこんでいました。

旅行会社の担当者も、ホテルの担当者も、発売前からどこまで売れるだろうという会話しかしないほど自信を持っていました。打ち合わせの内容といえば、予約の電話が一斉に鳴り出したり、社内にある唯一対面で旅行を申し込める店舗に人が一気に来た場合どうしようなど、売れない想定などお互いに全くありませんでした。とにかく気をつけたのは、人が集中した場合や、社外の人から申込みがあったときの対応など、売れすぎる前提でしか考えていなかったのです。

商品の発売日は賞与の翌日。その日は他の仕事をしながらも早く結果を聞きたくてウズウズしていました。夕方になり、初日の受注結果を聞こうと旅行会社に電話をしました。

「今日何件予約入りました? トラブルはなかったですか?」

「それが1件も予約されてないんです。きっと何かの間違いだと思うんですが……」

「まあ、チラシを見て家族で話する場もまだできてないだろうし、しばらく待ちましょう。あ、まさか、チラシの配布忘れたってことはないですよね?」

「念のため、確認しておきます」

そんな会話を交わして電話を切ったものの、翌日になっても、チラシは配られているのに予約がないのは間違いではないことがわかりました。

あまりに格安だったのですぐに売り切れる想定で、発売期間と出発日別に定員を設けていたのですが、結果的に最終日にかかってきた電話は、

「今日で受付期間終わったんですが、3件しか予約がありませんでした……」

「えっ! 3件! そんなはずは……」

と、想像もしなかった結果になってしまったのです。

 

「お客様が求めている価値」を真剣に考えていますか?

自信満々で、自分が初めて実施した企画が失敗した──。

生まれて初めて、力が抜けるというのを体験したのもこの時でした。全てやりきって、ホッとして力が抜けるのならいいのですが、がっかりを通り越して脱力感だけの状態でした。

「どうして売れなかったんだ?」

家に帰り、ベッドに横になってもこの言葉が襲ってきます。自信満々でスタートした企画でしたし、この金額で売れないわけがないという思いが強くあったせいか、悔しさからか、孤独感からか、とにかく寝たくても寝られないのです。

 

「商品の価値」は受け取る人、状況によって変わる

どうせ眠れないのならと、目をつぶって実際にチラシが配布された場面を何度も想像しました。すると、妄想か、夢か、一緒に配られたチラシが会社のゴミ箱にどんどん捨てられる風景が、まるで目の前で見たかのように鮮明に浮かんできたのです。

「どうして、こんなに価値のあるものを捨てるんだ?」

そう思った時に、体に電気が走ったような感覚を覚えました。

「そうか、価値か!」

そうつぶやきながら、ある確信が頭に浮かびました。

つまり、売る側である自分目線では価値があると思い込んでいたものの、配布された方にとっては価値を感じるものではなかった。売れなかった理由は、これ以上でも、これ以下でもないのです。

どんなにお得な商品でも、必要のない人にとっては、安いかどうか以前の問題です。この時のチラシは、とにかく価格を目立たせることを重視しており、ディズニーの写真は1枚も使わず、価格や行程といった旅のスペックのみを表記していたのです。

もちろん、それが必要とされた情報であれば、結果は違ったのでしょうが、相手に対して必要なものだと思わせる仕組みすら考えてない以上、ゴミ箱に捨てられる風景というのも、まんざら妄想ではなさそうです。

ましてや、配布した人の大半は男性。価格を前面に訴求したチラシでは、自分が家族を東京ディズニーランドに連れていくことで得られる価値が何なのかも伝わってなかったのはまちがいありません。

そして、急いで本棚にしまってあった一冊のノートを見返しました。そこには、このように書かれていました。

価値=受け取る人によって変わるもの。

同じ人でも、状況によって価値は変わる。

価値に対する値段は受け取り手が決めるもので、このバランスを失うと信頼がなくなる。100円には100円の価値があり、価格に対しての受け取り側の理想の対価を1ミリでも上回ればリピートにつながる。

このノートは大学生の時に、私が今でも人生の師と慕っている福田博之さんという方から教わったことを書きとめたものです。

 

マーケティングの師・福田博之さんとの出会い

福田さんは、当時グループ連結で年間2兆円近くを売り上げ、自身で創業した会社を2社も東証一部に上場させていたマイカルグループの創業者の一人でした。

福田さんとの出会いは大学2年生の時です。私は学生時代馬術部に所属していたのですが、馬術部ですので当然馬を世話しており、馬がいると馬糞が毎日溜まるわけです。週に一回は部員でトラックに馬糞を運んで農家の方にもらっていただいていたのですが、趣味で園芸をやってらっしゃる方もよく馬術部の厩舎まで来て堆肥用に馬糞を持って帰っていました。

ほとんどの方は勝手に馬糞をスコップですくい、持参した袋に入れて持って帰るのですが、ある時、妙にスコップをもつ手つきが不慣れな方がいらっしゃり、見かねて「詰めるの手伝いましょうか?」と、声をかけました。すると、「おう、助かるわ」と言われ、詰め終わると「ついでに運ぶんも手伝ってくれへんか?」とお願いされました。

結局、馬糞を学校のすぐ近くのご自宅の庭まで運んだのですが、お礼に家に上がれと言われたものの、あまりの豪邸と自分の馬糞まみれの汚い服装のギャップに遠慮したところ、「お前、いつでも遊びに来てええから、気軽にまた来いよ」と言われ、名刺をいただき、その会社名と肩書きを見てびっくりしたのを覚えています。

しかし、若さというものは本当に怖さや恥ずかしさを感じないもので、何を思ったのか本当に翌日に、「昨日、馬糞を運んだ嶋田です。遊びに来ました」と、ご自宅にお邪魔したところ「普通の奴は気軽に来いって言ってもけえへんのや。お前は面白い奴や。早く上がれ」と、応接間にお招きいただきました。

でも、人の縁とは不思議なもので、それが縁で、犬の散歩に出かけられる時にわざわざ馬術部の厩舎を覗いて「散歩に行くぞ」と誘っていただいたり、パーティーがあれば一緒に来るかと学生の自分を一緒に連れていって、各界の著名人の方に引き合わせていただいたりと、本当に可愛がってもらい、普通の学生では絶対にできない経験をたくさんさせていただきました。

 

おでんとフランス料理で学んだ「モノの価値」の神髄
fa45e9853037d94f07f52f90737297a1_s

 

 

 

 

 

お会いすると事あるごとに経営者とはどうあるべきか、どうすればお客様の気持ちを汲み取れるか、危機をどう乗り越えるか、そんな話を学生でもわかるように噛み砕いて教えてくださり、その日の夜に教えてもらったことをノートに思い返して書くのが私の日課になっていました。

価値についての話もまさにそうでした。

その日のことはいまでもよく覚えています。2月の寒い土曜日だったのですが、昼過ぎに散歩に行くぞと私を厩舎まで呼びに来てくださり、散歩の途中に立ち寄ったコンビニで、「おい、おでんをコンビニで売り出したん知ってるか?」と聞かれたので、「はい。よく食べます」と答えると、わしにも買って来てくれと千円札を差し出されました。

コンビニでおでんを買い、近くのベンチに腰掛けて、熱いおでんを一緒に食べていると、「1個100円でこれだけのもんが、気軽に食えるというのはすごいな。どうや、うまいか?」と聞かれたので、即座に「はい。美味しいです」と答えました。

その日はたまたま、夜も一緒に奥様と三人で食事に行くお誘いをいただいており、生まれて初めてフランス料理のフルコースをご馳走になりました。コースが終わりデザートを食べていた時に「お前、この料理一人いくらすると思う?」と、突然尋ねられ、奥様が「こんなところで……」と言いかけたのを遮り「大事な話や」と、続けられました。

私は、全く見当がつかなかったのですが「一万円ぐらいでしょうか?」と、答えると、「アホか、飯だけでその3倍はするぞ」と笑いながら、続けて「で、昼間のおでんとどっちがうまい?」と質問されました。

私が即答で「当然こちらのフランス料理です」と答えると、その答えを予測していたかのような呆れ顔で仰いました。

「お前は金額でこっちがうまいと言ったやろ? ええか、大事なことを教えたる」

「100円には100円の価値があり、3万円には3万円の価値がある、10万円にも当然10万円の価値があるんや。それを同じに比較することなんてできるわけないやろ」

そして、微笑みながら私にこう教えてくれたのです。

「価値というものは受け取り手のその時の状況によって変わるもんや。夏の暑い日に100円のおでんとアイスクリームを売れば、誰もがアイスクリームを選ぶと思うやろ。でも、時期は夏でも冷房で体が冷え切った人間はおでんを選ぶはずや。つまり、価値は状況や相手によっていつも形を変える。必要な人に必要なものを売るというのが商売の基本と覚えとけ」

「価値に対して対価としての金額があるわけや。しかし、その価値に見合う対価でなければ相手は買ってくれへんし、奇跡的に買ってくれたとしても、2回目は買わんようになる。でも、対価をほんの少しでいいから上回る価値があればまた買おうとなるもんや。価値とは何か? そして、対価を上回る価値を出すためにどうすればいいか? よく覚えとけよ」

その日の夜にノートに書いたのが前述の文章です。

福田さんとの思い出話で、少し横道に逸れてしまいましたが、自分はこの企画やチラシに価値があると思っていたけど、受け取った側は価値を感じなかったに違いありません。では、なぜ価値を感じなかったのでしょうか?

それは、福田さんが話されていたように、必要な人に必要なものを売るのが商売の基本だとすれば、きっと私が考えたことはその基本を守れていなかったのだと気づいたのです。

10万人の社員の給与明細と一緒に配布した「東京ディズニーランドへの旅」のチラシは、家族をディズニーのテーマパークへ連れていくことの価値をひとつも伝えていなかったため、奥さんやお子さんの目にいっさい触れることなくゴミ箱へと捨て去られてしまったのです。

この大失敗をしたことこそが、私の社会人としての本当のスタートでした。失敗をしたことで、単に売れなかった理由だけでなく、ディズニーのテーマパークへの新規集客の仕方やお客様がどうすればリピートするのかが見えてきたのです。

あなたの提供されている商品やサービスにおいて

「お客様が求める価値とは何か?」

その理由を一緒に考えながら次章以降を読んでいただければ幸いです。

嶋田 亘克著『ディズニーのすごい集客』より抜粋

【書籍紹介~目次】

51cIF6BSr+L._SX338_BO1,204,203,200_

『ディズニーのすごい集客』

 

はじめに
ディズニーの成功の秘訣は「顧客満足度」だけではない!
商品力があるのに潰れてしまうお店や会社の特徴とは?
マーケティングを超えたディズニーの集客の法則
なぜ、ディズニーは「商売の原則」にこだわるのか
本書で私がお伝えしたいこと

第 1 章集客マーケティングを始める前に知るべきこと
~ビジネスの原理原則を教えてくれた大失敗~
それは一本の電話から始まった
2年連続の前年割れを建て直すには?
大手家電メーカーの社員10万人をターゲットに
「お客様が求めている価値」を真剣に考えていますか?
「商品の価値」は受け取る人、状況によって変わる
マーケティングの師・福田博之さんとの出会い
おでんとフランス料理で学んだ「モノの価値」の神髄

第 2 章事業の「価値」を理解する
事業の目的・価値・役割を見直す
本当になし遂げたいことは何か?
ディズニーの研修がすごい理由
全ての従業員に自社の目的・価値・役割を理解させる
サービスの価値を共有して再生した旅館のケース
価値の共有がないと何が起こるのか?
「企業理念とミッションの唱和」は意味がない!
商品が生み出す価値を知る方法
上司から手渡された6枚のパスポート
落とし物のバスタオルが教えてくれたサービスの鉄則
不変な価値とそうでないもの

第 3 章思い込みでターゲットを選ぶ危険な落とし穴
すでにある需要を拡大する方法
まずはターゲットを2つに分類する
ターゲットの欲求を具体化する
狙ったターゲットの心理的欲求にアプローチする
大手コンビニチェーンを打ち負かした酒屋の秘策とは?
主要ターゲットを見極めれば客は絶対に奪われない!
潜在需要を掘り起こす方法
新たなターゲットとして狙った5つの事例
目先の利益に走るとロクなことにはならない
減少するターゲットに歯止めをかける
集客が減少している根本的な要因を探る

第 4 章消費者思考に立った商品づくり
ターゲット毎にカスタマイズした商品展開を図る
女子大生の集客を拡大せよ!
ヒアリングの結果わかった意外な事実
ターゲットの求める価値から独自の商品を提供する
過去における競合の体験から消費者心理を引き出す
他社の成功事例から成功確率を上げる
大学生向けプランの完成
ターゲットの求める「価値」がわかれば商品は独自化する

第 5 章新規顧客とリピート顧客の獲得法
新規顧客をどう獲得するか
顧客属性を2種類に分類する
2ステップ方式で新規顧客を集める
嬉しい誤算だった「TDRへの旅フェア」
迷うお客様の背中を押す仕掛け作り
展示・サンプリングが効いた理由
トライアル施策で重要なクロージング
購入前にリピートを約束させる手法
来園前からリピートを約束させる「パスポート戦略」
リピートするユーザーメリットはそこにあるのか?
購入後にリピートしてもらう方法
リピートを誘う時に絶対にやってはいけないこと

第 6 章集客のための7つのステップ
最初に押さえるべき4つのステップ
成功するチーム作りの秘訣
誰もが「自分にしかできないことがある」と思えるチーム
売り場を攻略するステップ⑤
ターゲットが集まる場所に商品がなければ完全にアウト
自社商品の「売れるイメージ」作り
売るためのマインドセット
時期を明確にするステップ⑥
早すぎても遅すぎてもいけない
最後にたどりつくステップ⑦
戦略と戦術はフレームに沿って考える

第 7 章集客できる人材の育て方
お客様が求めているものの先のストーリーを描く
ウォルト・ディズニーが描いた未来のイメージ
優秀な人材の共通点
主人公ドリーのセリフが示唆する「優秀な人材」の条件
ディズニーの企業文化を支える10の秘訣
秘訣①「WHY」と「HOW」
秘訣②ポジティブワード
秘訣③相手を認める
秘訣④見守る
秘訣⑤「GOODSHOW」と「BADSHOW」
秘訣⑥できない理由ではなく、どうすればできるかを考える
秘訣⑦飽きさせない
秘訣⑧誇りを感じさせる
秘訣⑨行動基準(指針)の共有
秘訣⑩本質を極める

第 8 章集客のための絶対法則
小手先ではない絶対集客の原則
テクニックで集客しようとする間違い
トレンドに流されない本物の集客マーケティング
夢のような目標がイノベーションを起こす
非常識な目標が成功速度を加速させる

おわりに

  • このエントリーをはてなブックマークに追加