「通る企画書」の見せ方・作り方を知っておこう! 企画書を超える企画書の例

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あなたはクライアントや上司から「企画書をください」と命じられた経験はありませんか。
そのような状況のときにあなたはどのように対処してきましたか?
自分なりに考えて作りましたか?企画書の例や見本をグーグル検索しました?
もしかして企画書の書き方、作り方のマニュアル本を読みましたか?

では、その企画、通りましたか?

完璧な企画書を作ってプレゼンしてみたけど反応がなかった。
また、時間をかけてデザインにも凝った企画書を作ったけど、
「で、結局何がしたいの?」と企画の趣旨が伝わらない…など、
企画書の作成で困った経験ってありませんか?

企画書が必要な時、企画書の書き方を知らなければ書き方がわからないのも無理はありません。

しかし実は、企画書は書き方・作り方をマニュアルだけ見ても効果がないのです。
企画をプレゼンして、クライアントや上司に「いいね!」と言ってもらわなければ「負け」なのです。

反対に「勝つ企画書」とはどういったものでしょうか?
先ほどとは逆にクライアントや上司の気持ちを動かし、相手が欲しくなる「通る企画書」なのです。

では「通る企画書」はどのようなものなのか、読んでいきましょう。

 

【目次】
プロローグ 企画書マニュアルは捨てよ!
【企画書を超える企画書とは】
1.企画書と思うな、プロポーザルと思え〜企画書は相手が同意してこそ意味がある
2.企画書は単なる書類ではない〜書くことよりも、何をしたいかが相手を動かす
3.クライアントは企画書を丁寧に見ない〜企画書はコミュニケーションである
4.企画書の目的は次のステップに進むこと〜まずは、企画書に関心を持ってもらおう
5.企画書は夢見る力がものを言う〜あり得ない企画こそがヒットする
6.クライアントが求める企画書とは?〜上手につくるより、面白いものをつくろう
7.問題を解決する企画書が好かれる〜答えを出す前に、「問題解決の達人」になる
8.企画書はマーケティングを練習する場と思え〜戦略的に考えた企画書だけが生き残る
9.じぶんにしか書けない企画書が、最高の企画書〜勝つ企画書は、じぶんの価値観を出すこと
10.企画書クリエイターだと思え〜固定観念を捨てれば、企画書づくりは楽しい 

 


プロローグ 企画書マニュアルは捨てよ!

kikakkusho

 

本文に入る前に、まず、いくつかの質問から始めます。
硬くならないでください、理由は簡単です。
みなさんが現在、「企画書」に対してどう理解しているか、どう感じているかを知りたいからです。
どんなことでも、じぶんの現状を知ることが、向上、上達へのスターティング・ポイント。
ギターなどの習い事を考えればおわかりいただけるでしょう。

 

第1問:上司から企画書を書いて来い、お得意から企画書を提出しろ、そう言われたとき、
みなさんはどう感じたでしょうか?できるだけ素直に気持ちを表してみてください。

第2問:企画書の書き方マニュアルを見ながら、起承転結を基本に書き上げたけれど、
いいのか悪いのか判断できなかった。そのようなときは、どうしたでしょうか?誰かに相談しましたか?

第3問:1週間、ろくに寝ないでがんばって企画書をつくったのに、クライアント(上司)はまともに見てくれなかった。
それで、わかるはずがないだろ!と、相手に批判的になったことは、何回くらいあるでしょうか?

第4問:企画書と言われても、じぶんのアイディアじゃないし、会社の仕事としてまとめなきゃ、と義務感にかられてやった。
そのようなときは、仕事がはかどりましたか?

第5問:書き落としたものもないし、すべてを網羅していて、じぶんとしては完璧だと思ったのに、
上司(クライアント)は、つまらない、のひと言で却下した。なぜだか、わからないままに書き直したことがありますか?

ここでは、あえてみなさんの答えには答えません。

それが、いまの実力とだけ認識してください。お楽しみはこれからです。 

私は、長らく広告代理店で、コピーライターからクリエイティブ・ディレクター、そして副社長まで経験してきました。
でも、やってきたことと言えば、考えること、発想すること、問題解決など、何もないところから企画し、クライアントの承認を得る、という仕事です。いたってシンプル。

企画し、承認をもらい、実行する。
広告・マーケティングのコミュニケーションの部分なわけですが、それこそ、クライアントや消費者に対して、〝これはどうですか?〞とお伺いを立てる仕事でした。

つまり、相手がいいね!と言ってくれなかったら、0点の仕事だったわけです。

このコミュニケーションという、基本でありながら魔物でもある存在が、私の企画力、企画を書く能力の師匠だった。いまでは、そう思っています。そうでなければ、「ハーゲンダッツ」のセクシーな広告も、「キットカット」の受験キャンペーンも生み出せなかったかもしれません。

これからこの本でお伝えするのは、型どおりの企画マニュアル書ではありません。もし、10人の人が、企画マニュアル書に沿って企画書を書いたとします。みんな同じような体裁、構成になり、ひいては結論まで同じようなものになってしまう。これでは、社内どころか、クライアントもその企画を買い上げないという事態に陥ってしまうでしょう。

要は、相手の気持ちを動かす、群れから抜け出す企画書でなければ、実践の場では勝ち残れないということです。

それが、〝勝つ企画書〞なのです。

企画書の常識とウソ

企画書マニュアル本を全否定するわけでは、もちろんありません。
はじめて企画書を書く場合などは勝手がわからず、手引書がなければ悩んだままで終わってしまうでしょう。

お稽古事、たとえば津軽三味線をはじめて習うとしましょう。
洋楽器と違って学校ではあまり教えてくれないので、先生の言われたままに、見様見真似で手を動かす。
なんとか曲のように聞こえてきたとしても、誰も感動はしてくれません。なぜでしょう?

おわかりのように、初心者は音符を追うのに必死で、もともと音楽が持っている感情を表すのを忘れているからです。
ましてや、三味線というのは、和音階の上にテンポが西洋音楽のように決められているわけではありません。
極論すると、奏者しだいでどうにでもなるというものです。

いい加減に見えていて、実は良い加減。この精神こそ、勝つ企画書の真髄と言えるのです。

そういう意味では、マニュアルの対極にある。だからこそ、10人が書けば、10通りの個性的な企画書が出来上がる。
クライアントは間違いなくそれを望んでいます。

「これさえ覚えれば、あなたは企画書のプロ」などという言葉に惑わされて、マニュアル通りに書いたら最後、決してその仕事は日の目を見ないでしょう。

起承転結の落とし穴

企画書の構成において、典型的な例のひとつが起承転結。もともと漢詩の型でしたが、それが転じて物事の順序のように使われ、企画書においても模範のように考えられてきました。

もちろん、ひとつの方法には違いありませんが、これが絶対だと信じると、思わぬ失敗が生じることがあります。この方法だと、

1.少子化によって、大量に物が売れなくなっている、という問題がある

2.それは、人口減少、老齢化、将来への不安などが要因となって拍車をかけている

3.しかし、見方を変えれば、個人消費者の質の向上とともに、ロイヤリティの強化が可能性として浮上する

4.従って、「個」へのアプローチの強化が解決策として結論付けられる

このように、論理だった展開になるでしょう。筋道が通っていてなるほどと思うのですが、これには大きな欠点があります。企画の流れが想像されやすい。クライアントや上司も当然いろいろ考えているでしょうから、先読みされてしまう。これでは、相手を驚かせることはできません。

それにもうひとつ、致命的な欠陥が。この方法だと、結論まで読むのに時間がかかりすぎる。多くのクライアント、特にマネジメントの方はスケジュールに追われていて、じっくり企画書を読む時間さえ取れないのが実情。「で、どうしたいの?」などと、結論を急がされる。作る側は、たくさんの時間をかけて練り上げていますが、受ける側の関心は、結論のみ。これでは、せっかくの企画書も水の泡になりかねません。 

ビジネスは形式ではありません。臨機応変、変幻自在。その時々の対応力がものを言うのです。相手が答えのみが欲しければ、まず答え。それくらいの柔軟力が勝つための必須条件です。

WOW企画書に溺れるな

近ごろ、目に付くのが、「企画書は目立つが勝ち」という風潮。ビジネスマンのほとんどが、パワーポイントを使って企画書をつくるので、やたらと派手になってきました。色、フォント、写真、イラスト、図、表などなどおもちゃ箱のようなにぎやかさです。

「人は見た目が9割」というくらいに、コミュニケーションにおいて、心理学的にもヴィジュアルの効果は証明されていますから、視覚効果を上手に使うことは非常に大事なこと。
しかし、パッと見だけがWOWで、肝心の伝えたいことがNOだったとしたら、効果は半減どころか逆効果になってしまいます。

 話上手な人は、重要な部分になると、あえて声を潜めてみたり、間をとってから大きな声を出したりして、話の緩急をつけるもの。どんなに大きく魅力的な声でも、ずっと同じ調子では内容がつかみにくくなってしまいます。

 書くことも話すことと同じで、1ページの中で、ページごとの中で緩急をつけなければ、かえって散漫になり、うるささばかりが目立ってしまいかねません。写真やイラストは、効果的に使ってこそ威力を発揮する。うるさいやつは、ときに知性を疑われることもあることを肝に銘じましょう。

以上のように、企画書の常識と言われているものにも、たくさんの落とし穴があります。
まだまだ、あるでしょう。

それに気づくには、「企画書は書類ではない」と考え方を変えることです。

書類と思うと、フォーマットや体裁、書式にこだわることになる。それは、企画書という枠を埋めていくだけの作業。役所のつくるような、分厚いだけで提案性の薄いものになってしまいます。これから、私が実践で役に立ったやり方で、企画書というものについてお話していきたいと思います。きっと、いままでのやり方とは違うでしょう。しかし、勝つという結果がついてくる。そう信じて読んでいただくとうれしい限りです。

本文では、企画書の常識超えのための66のポイントに整理して、あとでそのポイントだけでも簡単に読めるようにしました。デスクの前の1冊として利用してください。

第1章では、勝つための企画書とはどんなものか。いままでの企画書の概念を破り、クライアントの気持ちを動かすにはどうするかの、基本的な考え方を。

第2章では、書く前にキチンと戦略を立てる重要性を。

第3章では、読む人を惹きつけてやまない構成の魔力を。

第4章では、企画書を面白く楽しめるための「技」を。

第5章では、身近な問題を解決するさまざまな企画書の例を。

第6章では、アイディアを出すための発想法を。

第7章では、企画を上手に通すためのプレゼンテーションのやり方を。

それぞれわかりやすくお話ししていきます。順番に読まなくても関心のあるところから読んでいただいて結構です。では、始めましょう。

 

企画書を超える企画書とは

まずは、企画書を書類と思うことをやめましょう。それが、企画書を超える第1歩。

次に、いままでの企画書の概念を捨てる。キチンと書こう、丁寧に書こう、落ち度なく書こう、すべてを網羅しよう、ちゃんと読んでもらおう。もちろん、全部大事なことですが、それらのことを前提にして書くと、それらのことが破綻した場合、その企画書は何の意味も持たなくなってしまいます。

企画書とは、じぶんにとってすごいことではなく、相手にとってすごいこと。ちょっと戸惑うかもしれませんが、それが理解できなければ、企画書を超える企画書はできません。何よりも、相手のことを知ることが重要なのです。

 
1.
企画書と思うな、プロポーザルと思え  
 〜企画書は相手が同意してこそ意味がある 

presentation

企画を英語で言うと、アイディアとかプランニングです。つまり、新しいアイディアを考えたり発想したりすること。それだけでは、アイディア・スケッチのようなものになってしまい、日本語の企画書とはちょっとニュアンスが違ってしまいます。

では、企画書とはいったい何者?日本語という曖昧な言語のせいだと思うのですが、企画書という定義が甘い。「企画書を書け」と上司から言われてもすぐにピンとこないのは、「企画書とはこういうものだ」と教えられていないからでしょう。

私は外資系にいたのでよくわかりますが、英語使用圏の人はとにかくすべてが明快。曖昧さを決して残しません。多民族多文化という環境がそうさせたのでしょうが、曖昧にしたら、仕事はうまくいかない。それどころか能力がないと思われてしまいます。

彼らの企画書とは、プロポーザル。つまり、クライアントへの提案です。大して違わないじゃないか、と感じた人はまだまだ曖昧さの壁を超えることができません。この違いは、主語。多くの企画書は、「〝私〞はこう思う」のですが、プロポーザルの場合は、「〝あなたはどう思いますか?」です。あくまで、クライアントである相手がすべての主導権を持っている、という考え方。こんなにすごいことを考えたのだから、買うのが当然だろ、では提案とは言えません。 

企画書は相手が同意してはじめて意味を持つものです。まずは、スイッチを切り換えましょう! 

 
2.企画書は単なる書類ではない
書くことよりも、何をしたいかが相手を動かす

書類を用意しろ、と言われるとどれくらいのものを想像するでしょうか。多分、分厚い資料つきのもの?企画書も同じ範疇でしょう。そう思っただけで憂鬱になる。私なら絶対そうです。時間ばかりが気になって、かえって進まない。これでは、仕事のための仕事になってしまいます。企画書にはフォーマットや仕様はありません。たった1枚でも1行でも、相手が気に入ればそれでいい。書類を用意することより、相手を動かすこと。それが目的なのですから。

1979年に発売されたソニーの「ウォークマン」。その企画書は、この1行で十分だったはずです。「歩きながら音楽を楽しめるプレーヤー」。もちろん、市場分析や機器の設計図は必要だったでしょう。

しかし、企画書でいちばん大事なのは、「こんなものがあったらいいでしょう!」という夢であり、それを共有する気持ち。それが、実現に向けてのエンジンになるのです。何を企画したいのか?どう思って欲しいのか?ここからの、再スタートです。

「企画書を書かなければならない」、まずはこの呪縛から逃げだしましょう!

 


3.
クライアントは企画書を丁寧に見ない
企画書はコミュニケーションである 

企画書を書いているのは、あなただけではありません。クライアントの上層部へいけばいくほど、見なければならない書類が山のようにあり、あなたの書いた企画書もその山のほんの一部に過ぎない。この認識から始めましょう。

敵は、どれくらい忙しいのか、どれくらい時間が取れるのか。20分?5分?もし、3分だとしたら、伝えたいことの中で優先順位をつけましょう。どんなことがあっても、見てほしいことは、これ。次は、これ。これは、最悪スキップされてもかまわない。興味を持たれたときの添付資料は、これ。こうやって優先順位をつけていくと、逆に何が大事なのかがはっきりしてきます。

敵を知ることは、じぶんを知ること。じぶんが本当に伝えたいのは何か。これが見えてきます。それを、どうやってシンプルに表現できるか。ひと目で相手の気持ちが打てるか。 

忙しい相手を捕まえて、立ち話で明日の用件を伝えるとき、どうしてますか?場所時間、重要度それくらいでしょう。それを、「エー明日なんだけど、時間あるかなあ? そう、一応チームは全員集まることになってるけど、大丈夫?」などとやっていたら、大事なことを伝えきれずに相手を逃がしてしまうでしょう。

企画書もコミュニケーションと考える。まず、読む相手の状況を想像する。別の報告を受けながら?途中で電話が入る?緊急事態発生?それくらいのことを予想して書きましょう。相手は懇切丁寧にあらず、です。

 

4.企画書の目的は次のステップに進むこと
まずは、企画書に関心を持ってもらおう 

企画書の最大の落とし穴は、書き終わったらすべてが終わり、と勘違いすること。これはとんでもない間違いです。企画書は、そのプロジェクトのイントロにすぎない。チームもしくは個人で考えたことをまとめ、上司やクライアントに提案する最初のステップ。

企画書を通すことが目的ではなく、企画書に関心を持ってもらう。それが企画書の役目です。ともすれば、企画書でプロジェクトの全ぜん貌ぼうを明らかにしようとして、あまり詳細に突っ込み、かえって当初の目的を達成できなくなる場合があります。

企画書は、クライアントをこっちに呼び寄せる、チームに加わってもらうためのもの。そう考えれば、書き方が俄が然ぜん変わってくるはずです。ディテールよりも、この企画を実現したらどうなる?利益が数倍上がる?会社のイメージが変わる?そうした、プロジェクトがもたらす結果が重要になってくるのです。それにクライアントが食いついてきたら、次のステップは?とたたみこむ。すべてを明かしてしまうよりも、どうなんだろう?と期待を持たせることによって、相手の関心を強めるのです。みなさんがよく知っている、男女関係に似ています。

企画書は、相手をじぶんの陣地に引き込む手段と考えましょう。少しずつ奥へ引き込めたら、もう後戻りはできなくなるのです。

 

5.企画書は夢見る力がものを言う
あり得ない企画こそがヒットする

kaisou

実現可能なアイディアを考えろ、と上司は口にします。もちろん、実現できないアイディアは絵に描いた餅です。しかし、これが企画する人を井戸の中に閉じ込めている。

多くの人は、こう言われると、〝実現=実際にあるもの〞と考えてしまいます。こんなこと誰もやったことがないし、いままで聞いたこともない、できるわけがない、とゴミ箱行き。そう思ったとたん、どこかで聞いたことのある企画になってしまう。それで提出すると、面白くない、新鮮味がないとボツになる。

あー、どうしようと悩んでいるでしょう。 

もともと企画というのは、いままでやったことのないことをやろうと企てること。手垢がついたものは企画とは呼べません。

いちばん簡単な企画力は、こんなものがあったらいいのに、こんなことができたらいいのに、という夢見る力。子供のころならみんなにあった力なのに、なくなったのは、どーせ無理、やるだけ無駄、あり得ない、というおとなのネガティブ志向のせいなのです。

でも世の中を見渡せば、ヒットしたものはみんな〝あり得ないものばかり。携帯電話にカメラをつけるなんて、あり得ないの典型でしょう。それなのに生まれたのは、きっといまこんな面白い光景に出会った、すぐに彼女に見せてあげたい、と切望したからに違いありません。

企画書は夢見る寝室、そう考えましょう。空想が素晴らしい創造を生むかもしれません。

 

6.クライアントが求める企画書とは?
上手につくるより、面白いものをつくろう

企画書に達人は要りません。どんなに上手に書こうが、きれいに見せようが企画のコア(核)がつまらないものだったら、クライアントは絶対に買わない。これが企画書に求められるものです。もちろん、読むに耐えないようなひどい文章だったり、ぎっしり小さな文字が詰まっていたりしたら別ですが、基本的には流麗な文章力は必要としません。 

ところが、どんな会社にも、企画書名人なる人が存在していて、結構その人が重用されていたりします。実はこれが問題。その人のように書かないと、会社では認めてもらえないし、企画の仕事さえ回ってこないことが多い。それで、企画書の書き方なるものが流布するのです。しかし、クライアントは上手な企画書を求めていません。じぶんたちの問題を解決してくれる答え、じぶんたちのビジネスを飛躍させるアイディア。それにしか関心がないのです

企画書を上手につくればつくるほど、絶対にこれは売れる、と勘違いするもの。その勘違いのルートに入ってしまったら、抜け出すのはなかなか難しくなる。

大事なのは、おいしそうに見せることではなく、クライアントが思わず食べたくなることです。おいしそうに盛り付けされた料理でも、食べてみたらまずかったでは、かえって裏切りが大きくなってしまうでしょう。

上手を考えるより、面白いを考える。クライアントが求めているのはどっちでしょうか

 

7.問題を解決する企画書が好かれる
答えを出す前に、「問題解決の達人」になる 

この世の中のすべてのビジネスは問題解決、と言って差し支えないでしょう。

問題を抱えていない会社やブランドはないし、たとえ新製品だとしてもその作られた理由を考えれば、何らかの問題を解決するために誕生したはずです。そのためにも、まず企画書を書くにあたって、そのクライアントが抱えている問題は何か、を深く知る必要がある。売り上げが伸びないなら、なぜ?何がそうさせているのか、をいろんな視点から検証しなければなりません。 

消費者は心の奥底で、そのブランドのことをどう思っているか、何が不満なのか。徹底的に洗い出す。この作業が深くできれば、意外に背中合わせに解決策があることに気づく。 しかし多くは問題を深掘りせず、性急に答えを探しにいく。これによって、とんちんかんな答えになってしまうことが多いのです。

ときには問題の本質は何か、を企画書の最重要テーマにするだけでもクライアントの評価を得ることがある。クライアントでさえ気づいていない問題の本質。それを白日の下に出す。それが答えを引き出すきっかけになるのです。問題探しこそ、企画書達人への道。

 

8.企画書はマーケティングを練習する場と思え
戦略的に考えた企画書だけが生き残る 

企画書は、クライアントが抱えている問題を解決するためのアイディアを提案するもの。これはマーケティングそのものなのです。では、マーケティングとは何でしょうか。

簡単に言えば、市場および消費者が求めているものを(顕在化、潜在化にかかわらず)探し出し、製品化・サービス化して提供すること。言い換えれば、消費者が喜ぶもの、消費者に役立つものを提供して、彼らの行動を促すこと。そうです、「これ、欲しかったんだ」と思ってもらうことで、自発的に消費行動を起こさせる。そのために、4つのP(Product,Price ,Place ,Promotion )を通して施策を考える、というものです。

企画書もマーケティングと変わりありません。クライアントの求めているものを探し出し、提案という形で提供する。その企画が、クライアントの気持ちを動かせば、彼らは行動に移すでしょう。違いはマーケットという大きなものか、クライアントという個人だけ。

要は、ターゲットを動かすということです。まさに、マーケティングそのもの。戦略なくして、戦術もなく、結果もない。戦略的に考えた企画書だけが生き残るのです。

 

9.じぶんにしか書けない企画書が、最高の企画書
勝つ企画書は、じぶんの価値観を出すこと 

企画書にはルールはありません。こう書かなければ、というものがないのです。つまり、決め事なしに試合を戦わなければならない。子供のころを思い出してみてください。喧嘩や土俵なしの相撲をとるとき、あれこれと戦略を考えたでしょう。そのときの基準はじぶんの能力。じぶんの得意技、長所を存分に生かした戦略を考えたはずです。

企画書を書くことは、それと全く同じこと。

10人の人が同じテーマを与えられて企画書を書く場合。つまり、競合になったときです。勝ち抜く秘訣は、じぶんにしか書けない企画書を書く。それが最大の勝因になるはずです。クライアントが求めているのは、誰でも思いつくようなものではありません。ましてや、10人の人に頼んでいるということは、十人十色の企画を楽しみにしているのです。

すべての企業が、新たな戦略を実行せざるを得なくなった現状を考えると、勝つ企画書は、いかに個性的であるかにかかっています。誰にでもわかりやすいもの、リスクの少ないもの、間違いのないものなどは、すぐに書類の下敷きになってしまうでしょう。まず、じぶんは何が好きで、どんなことがしたいか、世の中にどれくらい役に立ちたいか、を考える。次に、じぶんの価値観と与えられたテーマ、問題の関係性を見つける。

そして、その問題解決のために、じぶんの価値観を通して解決策を生み出していく。これが、じぶんという個性を生かした企画書づくりの基本です。

まずは、企画書をじぶん色に塗ることから始めましょう。

 

10.企画書クリエイターだと思え
固定観念を捨てれば、企画書づくりは楽しい 

企画書はただ書類をまとめる作業ではなく、個性的な仕事、そう言ってきました。

もっと言えば、クリエイティブなプロセスに近い。物事を決められた視点からだけではなくいろんな視点を発見する。それをすべての感覚を使って表現する。

こう言うと、なんだか難しそうですが、みんなのからだに染み付いている固定観念をちょっと横へ置いて、文字だけでなく写真やイラスト、音楽、小物、何でも使えるものは使って表してみる。子どもが思いついたら何でも使って作る、あれに似ています。紙は、画用紙であり、飛行機でありボールでもある。

それくらい自由に考えれば、企画書は書類というより、図工道具。クレヨンだって押し花だって使える材料になる。それどころか、効果を考えれば、ダイヤモンド並みの驚きを与えることもできます。

ああ、企画書づくりは楽しい!と感じたそのときから企画書が変わるはずです。それはすでに舞台演出に入っています。このページを開ければ、そこはパラダイス。そのときのクライアントの反応を想像してください。

これこそが、相手、ターゲットを意識した企画書づくりであり、本来の企画書なのです。クリエイティブは何のためにあるのか? 見る人、触れる人を楽しませるためにあるのです。

企画書に向かったら、まず上着を脱いで、固定観念を脱いで、じぶんに戻って書き始めましょう。

 

 ※書籍『これだけは知っておきたい 「通る企画書」の見せ方・つくり方』(関橋 英作 著)より引用。


 

【書籍紹介~目次】

これだけは知っておきたい 「通る企画書」の見せ方・つくり方

これだけは知っておきたい 「通る企画書」の見せ方・つくり方

 

プロローグ 企画書マニュアルは捨てよ!

第1章
企画書を超える企画書とは

企画書と思うな、プロポーザルと思え
・企画書は相手が同意してこそ意味がある 

企画書は単なる書類ではない
・書くことよりも、何をしたいかが相手を動かす

クライアントは企画書を丁寧に見ない
・企画書はコミュニケーションである

企画書の目的は次のステップに進むこと
・まずは、企画書に関心を持ってもらおう

企画書は夢見る力がものを言う
・あり得ない企画こそがヒットする

クライアントが求める企画書とは?
・上手につくるより、面白いものをつくろう

問題を解決する企画書が好かれる
・答えを出す前に、「問題解決の達人」になる

企画書はマーケティングを練習する場と思え
・戦略的に考えた企画書だけが生き残る

じぶんにしか書けない企画書が、最高の企画書
・勝つ企画書は、じぶんの価値観を出すこと 

企画書クリエーターだと思え
・固定観念を捨てれば、企画書づくりは楽しい 

第2章
目指すは、〝戦略する企画書

設計図を描いておけば悩んだときのお守りになる
・「何がしたいか」をハッキリさせておこう 

企画書はすべて問題解決と考えよう
・全体像を捉えていれば、ただの思いつきにはならない

 問題の問題は何だ?
・マンダラ・チャートで、問題の種を探し出す

いまを知らずして明日はない
・SWOT分析が企画書のベースになる

ライバルは素敵な鏡だ
・ライバル研究で、じぶんの仕事を再確認する

企画のネタは、社会が教えてくれている
・毎日、新聞やテレビのニュースをチェックすること

本当に困っている人は誰だろう?
・悩みを抱えている人の悩みを取り除くことが企画だ

悩んでいる人の心のうちを見る
・「ネガティブ集め」でアイディアを探そう

提案力が企画書のエンジンだ
・企画書に「くどき文句」を使おう

アイディア100本ノック
・アイディア出しはとにかく多く出すこと

宝の地図、ビッグピクチャーの出来上がり
・これで企画書の戦略は固まる

第3章
企画書は、映画的エンターテイメントである

まず、どんな映画を目指すか
・企画書の構成は、映画のパッケージのように考える

タイトルでお客の入りが違う
・タイトルの意外な語り口がページをめくらせる

タイトルのスタイルとは?
・結論型・問題提起型・目的強調型・仲間意識型・サプライズ型で相手をつかむ

サブタイトルで左脳を撃て
・サブタイトルは、「なるほど!」と納得させる役目を担う

「結論ファースト」で攻める
・結論をズバリでチャンスを逃がさない

目的の強さがバロメーター
・目的意識の強さが、企画書の土台をしっかりさせる

どんな顔をしている人だ? その人は
・「ターゲット」はプロフィールを書くように詳しく

4つのNOWで、理由は一目瞭然
・ブランド、競合、消費者、社会のNOWで俯ふ 瞰かんする

リスクをあえて言ってしまおう
・相手の不安を理解することが信頼を生む

 次のステップのための要望を忘れるな
・決めることより、次にどう進めるかをリクエストする

「神社」を例にした企画書のできあがり!
・ここまでのまとめを押さえておこう

第4章
企画書を面白くする〝技

書類の上でしゃべる人、それが口調文
・声に出して読みたい企画書

口調のスタイルは?
・4つの口調のスタイルを使いこなそう

読み手を洗え
・相手の価値観をリサーチして企画書を書こう

1枚に1行が理想と思え
・簡潔な文章は相手への親切である

短くする技は、キャッチコピーを真似ろ
・視点をずらして別なものに置き換える

アナログで、心にグサリ
・パワーポイントはもう古い

デザインは企画書のドレス
・キレイは相手の心をなごます

パーソナリティーをデザインする
・企画の内容に合わせたビジュアルづくり

コラージュで心にイメージをつくる
・写真を組み合わせることでイメージが伝わる

グラフは、見る側の視点でつくれ
・伝えたいことをクローズアップするグラフの作り方

小学校の教科書がお手本
・わかりやすさがナンバーワン

ビジュアル系企画書のできあがり
・直感で相手を刺激しよう 

第5章
コミュニケーションする企画書で、身近な問題も一件落着

上司部下が腹をかかえて笑える企画書
・「チームワーク」がアイディアの核

会社の同期会は、どう機会をつくるかの企画書
・〝きっかけ〞作りの苦手を克服する方法

友だちのライブに人を集めるラブリーな企画書
・相手の気持ちに入りこめるかがカギ

気になるあの人をその気にさせる企画書
・PROS.&CONS.を使いこなせ

ネットオフ会に人を集めるオフレコな企画書
・強いテーマは人との壁を崩す

本音トークにはまる、ほんとに得する企画書
・大きな問題も解決できる

第6章
発想とは、固定観念との闘いである

クリエイティブな人になると、どんないいことがある?
・考えることへの抵抗感がなくなる

固定観念のはずし方①メモとカメラの人
・毎日の習慣であなたも変わる!

固定観念のはずし方②せっかちな人
・「私ならどうする法」で好き、嫌いを考えよう

固定観念のはずし方③マラソンな人
・「連想マラソン法」を習慣にしよう

固定観念のはずし方④逆転マン
・いまある価値観を捨て去ろう

固定観念のはずし方⑤くっつけマン
・新しい価値の生み出し方

固定観念のはずし方⑥夢見る人
・ただの思いつきこそが最高のやり方

非常識は成功すると常識になる
・秘訣は非常識を恐れないこと

第7章
YESと言わせるプレゼンテーション

プレゼンテーションは発表の場ではない
・主役はクライアントである

プレゼンテーションはプレゼントだと思え
・プレゼンテーションは相手を喜ばすこと

プレゼンテーションも見た目が9割
・プレゼンテーションは即興演劇だ

声は魔法の音楽
・話し方で相手を惹きつける

コンテンツは相手を喜ばすプレゼント品
・わかりやすくシンプルに、が伝わるコツ

プレゼンテーションは生き物だ
・相手の表情、反応をよく見ること

プレゼンテーションのお稽古
・羞恥心を捨てて大きな声を出す

目指すは、じぶん流プレゼンテーション
・人の真似より、じぶんらしく

あとがき

 


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