電子書籍アニキ書評 vol.81 マシュー・サイド著『失敗の科学』(出版社:ディスカバー・トゥエンティワン)

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間川さんコラム用近影

こんにちは!電子書籍アニキこと間川清です。

 

さて前回は、読むべき本を絞り込むためには、3つのフィルターを基準にして本を選べば良い、ということを書き、そのフィルターの一つとして「人」というフィルターがあることを紹介しました。
今回は具体的に「人」のフィルターを使う方法について書きたいと思います。

 

「人」のフィルターを使う第一の方法は、「人から勧められた本を読む」ということです。
前回のコラムでも書きましたが、人が一人で読める本の量はたかが知れています。
そこで、自分以外の人にオススメの本を聞き、その本を読むことで、他人が読んだ本の分まで自分の成果にしてしまうのです。

ビジネスや私生活で優れた成果を出している人は多くが読書家です。
そんな人達の中には本が好きな人は多いですから、「オススメの本を教えてください!」と言えば喜んで教えてくれます。
ですから遠慮せずにどんどん聞きましょう。

その際、教えてもらった本を読んだ後、一言でもいいからその本の感想とお礼の言葉を、教えてくれた人に伝えてください。
教えた側はとても気分がよくなり、あなたに信頼感を感じるでしょう。
自分が学べるだけでなく、相手との信頼関係も構築することができるのです。

 

もうひとつ「人」のフィルターを利用する方法としてあるのが、書評記事の利用です。
ネットで検索すれば、書評記事を書いているブロガーがたくさん見つかりますし、新聞や雑誌にもたくさんの書評があります。
もちろん私が書いている書評記事を利用していただいてもかまいません。

私もそうですが、書評記事を書く人は、たくさん読んだ本のなかから「これだ」という本について記事にしていることが多いものです。
これは、本を選ぶ手間を人にやってもらっているのと同じこと、是非とも利用しましょう。

オススメの方法は、誰か一人自分と価値観のあう書評家を見つけ、その人が書評で選んだ本を読んでいく方法です。
自分と価値観のあう人の選んだ本ですから、自分にとっても価値を感じる本であることが多くなるのです。是非試してみて下さい。

 


 

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マシュー・サイド著『失敗の科学』(出版社:ディスカバー・トゥエンティワン)

 さて、今回紹介する一冊は「失敗の科学」(ディスカバー・トゥエンティワン)です。

皆さんは「失敗」というと何をイメージするでしょうか?

ほとんどの人は「失敗」を恥ずべきもの、避けるべきものと考えているでしょう。
しかし、昔から「失敗は成功のもと」というように、失敗は成功を掴み取る上で必要不可欠なプロセスです。
本書は、そのことを数々の事例を通じて教えてくれる一冊です。

私は毎日ほぼ1冊のペースでビジネス書などを読んでいますが。
「これは素晴らしい本だ!」と心から言えるような、いわゆる「当たり本」に出会うことは多くありません。
感覚的にいうと20〜30冊に一冊程度でしょうか。

本書は、まちがいなく「当たり本」といえる一冊です。
今年に入って初めての「当たり本」と言えます。
そのため、自信をもって全ての人に読んでいただきたいとオススメします。

なぜ「当たり本」と言えるのか?
その理由は2点あります。

まず1つ目の理由は、学びの数が多いという点です。
本書は、過去におきた医療業界や航空業界など様々な分野における失敗事例を紹介し、
なぜそのような失敗が起きたのか、
どうすれば失敗から学ぶことができたのかなどなど、
失敗にまつわる様々な分析がされています。

事例ごとに詳しくその失敗原因や将来への生かし方を分析し、読者に役立つ学びとなるように解説しています。
その学びの数がとても多く、また非常に役に立つものとなっています。
本書を読むにあたり、私は付箋をつけながら読み進めていきましたが、学びとして紹介したい点が多すぎて本が付箋だらけになってしまいました。
一般的には一冊のなかで2つか3つ程度新たな学びがあれば十分ですが、本書にはそれを遥かに上回る数の学びがありました。

次に2つ目の理由としてあげられるのは、本書の内容が単純に話として面白いということ。
本書では失敗した事例を物語風に書いている部分があります。
飛行機のパイロットが危機一髪の状態から失敗を回避する話や、医師の判断ミスで患者が死亡してしまう例など、失敗にまつわる数々のエピソードが臨場感を持って語られます。
小説のように続きが気になり、あっというまに読み進めることができてしまいます。
これは著者の文章力のたまものと言えるでしょう。
本書の文章自体も素晴らしく読みやすいです。
翻訳本にありがちな、冗長でわかりにくい表現がなく、短い文章でわかりやすくまとめられており、読んでいてつまずくことがありません。
これも著者自身の文章力と翻訳者のすぐれた翻訳のおかげです。

以上のように、学びが多く、かつ、内容自体が面白く読みやすい、という本にはなかなか出会えるものではありません。
本書はその意味で優れた良書であり、是非とも一人でも多くの方に読んでほしいと思います。

 

本書の著者は、マシュー・サイド氏。
1970年生まれで、イギリス『タイムズ』紙の第一級コラムニストかつライターを務めています。
オックスフォード大学哲学政治経済学部を首席で卒業後、卓球選手として活躍した後、英国放送協会(BBC)『ニュースナイト』のほか、CNNインターナショナルやBBCワールドサービスでリポーターやコメンテーターなども務めているとのこと。

元卓球選手であったという異色の経歴を持っているようですが、本書を読む限り、著者のライターとしての優れた文章力と、物事の分析力は人並み外れているとしかいいようがありません。
著者は、「非才!―あなたの子どもを勝者にする成功の科学」という本の著者でもあります。
この本は、詳細は省きますがとても良い本です。
もし興味があれば、本書と併せて読むことをオススメします。

 

さて本書の構成ですが、本書は全部で7つの章で構成されています。
それぞれのもくじタイトルは以下のとおりです。

 

 第1章 失敗のマネジメント

 第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む

 第3章「単純化の罠」から脱出せよ

 第4章 難問はまず切り刻め

 第5章「犯人探し」バイアス

 第6章 究極の成果をもたらす マインドセット

 終章 失敗と人類の進化」

 

各章では1つから3つ程度の過去に大きな影響のあった失敗例をとりあげ、なぜそのような失敗がおきてしまったのか、その失敗からどのようなことが学べるか、失敗を未来にいかすためにはどのような方法をとるべきかを教えてくれます。

紹介される事例がとても興味深いものであることは既に述べたとおり。
著者が丹念な取材や調査を経て、各事例を紹介しているのがわかります。

以下では本書のなかでもとくに気になったポイントを紹介したいと思います。

 

「間違いを教えてくれるフィードバックがなければ、訓練や経験を何年積んでも何も向上しない」

 

1万時間の法則、というものを知っているでしょうか。
これは、一定の才能が開花するまでには1万時間の訓練が必要、という法則です。
例えば、チェスやテニスの選手は、1万時間練習を積み重ねれば競技で優れた成績を残せる、ということです。

一方、この1万時間の法則では、「職種によっては、訓練や経験が何の影響ももたらさない」という研究結果も存在しているそうです。
例えば、心理療法士を対象にしたある調査では、免許を持つ「プロ」と研修生との間に治療成果の差は見られなかったそうです。

このように訓練や経験が意味をもつ場合とそうでない場合の違いはどこにあるのでしょうか?

本書の答えは「フィードバック」です。
きちんとした「フィードバック」すなわち、結果に対する評価や改善を促す指摘がなければ、いくら訓練や経験を重ねても技術は向上しないのです。

これは、失敗こそが成功をもたらす、という本書のテーマを的確に示す指摘です。
例えば、ゴルフがうまくなりたいと思っていたとして、暗闇に向かってボールを撃ち続けたらどうでしょうか?
打った球がどのようにとんでいるかわからなければ、フォームを改善したらいいのか、なにを直せばいいのか全く分かりません。
このように、適切なフィードバックの存在こそが、失敗を成功に変えるために必要不可欠な要素なのです。

これは言われてみてば当たり前に聞こえますが、実際多くの場面でフィードバックがないままひたすら訓練を重ねているという事態が起きていると思います。
自分が向上させたいと思っている分野で、くらやみに球を打ち続けるような状態が起きていないかチェックしてみるとよいでしょう。

 

「究極の失敗型アプローチ 事前検死」

 「失敗」を利用してビジネスで大きな成果を出すテクニックとしてとてもユニークなものがあります。

それは本書が紹介する「事前検死」というテクニックです。

「検死」というのは、人が死んだときに身体を解剖しその正確な死因を調査することをいいますが、これを「事前」に行うという考え方です。
具体的には、たとえば会社であらたなプロジェクトを開始しようとするさい、関係者で集まった上で「仮にこのプロジェクトが失敗に終わったと考えたとき、その原因はなにか」を一人ずつ考えて発表させるのです。
そして、その原因をすべて解決してからプロジェクトを進めます。
たとえば、広報活動が足りなかったという原因が出たとしたら、事前に十分な広報活動ができるような根回しをしておく、というようにです。

ネガティブな失敗想定から成功につなげる、というこの「事前検死」はとても面白いアイデアです。
一般的に人はポジティブなことよりネガティブなことを多く考えがちだと言われています。
ネガティブな思考で様々な失敗要因を考え出し、それを改善していけば成功に近づくのは当たり前でしょう。
是非一度使ってみたいテクニックです。

 

以上本書の内容を紹介してきました。
冒頭にも述べたとおり、本書は学びが多く、また本自体面白く読めるという優れた良書です。
是非とも一読し、失敗からいかに成功を導くか、そのメカニズムを知ってほしいと思います。

 

超訳アニキの言葉

「失敗は成功のもと、は言い古された言葉だが真実である」

 

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小倉広著『折れない自分のつくり方』

さて本書は「失敗」について書かれた本ですが、多くの人は「失敗」を経験すると心が折れてしまいがち。
そこでヨミポで読める「折れない自分のつくり方」もあわせて読むことをオススメします。
どんな批判にもゆるがない信念はどうやって作るのか、30代のメンターと呼ばれる著者の小倉広氏が、自身の挫折経験と先達の言葉をもとに、おれない自分のつくり方を教えてくれます!
是非読んでみて下さい。

 

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間川清 まがわ・きよし

 

日本の弁護士。埼玉出身。25歳で司法試験に合格。弁護士法人川越中央法律事務所を経営。

弁護士業務の傍ら、セミナー講師として 法律や仕事術に関して教えている。

著書に『5つの基礎と6つの応用技でマスターできるうまい謝罪』『そのかめはめ波は違法です!』

『1年後に夢をかなえる 仕事術』『「アレ」はなぜ合法なのか?』 ほか。

 

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