ビジネスに強くなる、コミュニケーションスキルを高める平野秀典の2つのメソッド

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プレゼンや仕事を成功させたい。

そのために本・勉強・セミナーなどで、ビジネススキルやコミュニケーションスキルを日々磨いているビジネスパーソンも多いでしょう。
しかし、なかなか結果に繋がらない事例が多く見られます。

結果につながらない限り、たとえあなたが一生懸命スキルを身につけても、残念ながらお客様から認めてもらいにくい。これがビジネスの現実ですよね。
なぜ、プロが伝授している本・勉強・セミナーなどでビジネススキルやコミュニケーションスキルを磨いていても、結果を出せないのでしょうか?

理由としては、ビジネス上のコミュニケーションにおける「説得力」だけを鍛えてしまっている可能性が考えられます。

「説得力」は確かに場合によっては必要です。「説得力」のおかげで1度や2度は成功することもあるでしょう。
しかし「説得力」だけを鍛えても、結果を継続して出すのは難しくなってしまいます。

なぜなら、人は誰しも「説得されたい」などと思っていないからです。

説得することは相手の気持ちとは違うことを訴えることです。
相手の気持ちとは違うこと事をしようとする時点で、コミュニケーションをとる前からあなたと相手には既にズレが生じているのです。
これでは相手を動かすことはできません。
となると、結果が出せないのは当然だと納得できますよね。

では、どのようなコミュニケーションスキルを持てば、結果を出せるようになるのでしょうか?

それは、あなた自身がお客様の立場になって考えてみてください。
あなたがビジネス上のお客様だとして、「買う」「サインする」など行動を起こすときはどのような感情の状態になっているのでしょうか?

・その商品やサービスに納得した!
・その商品やサービスに共感した!

など、その商品やサービスに対して「心」を動かされたときではありませんか?
それは相手も同じです。

つまり、コミュニケーションスキルにおいて必要なのは、人を説得して動かす「説得力」ではなく、ズバリ、人が感動して動きたくなる「感動力」なのです!

今回、その「感動力」が誰でも発揮できるようにと、感動力スキルを身に付けるメソッドを1冊に凝縮したのが「感動プロデューサー」である平野秀典氏です。

ビジネスマンをしながら演劇俳優もこなすという二足わらじだった平野氏は、次第に「演劇で観客に感動を与えるやり方」と「ビジネスの成功」の大きな関連に気がつきます。
そして「演劇で観客に感動を与えるやり方」をビジネスの現場に導入したところ、一部上場企業にて驚異的な業績アップに貢献することができたのです!

そんな経験を踏まえて、IOC委員の方々の共感を勝ち取った東京オリンピックのプレゼンをモデルに「感動力」のメカニズムを解き明かしていきます。

さらに!

「人の感情を動かすことのできる専門家」であるアーティストが持っている「表現力の魔法と呪文」。

あなたの人生を劇的に変えるこの「人の感情を動かすことのできる表現力の魔法と呪文」の意味と効果を、ひとつずつ解説していきます。

あなたが「ビジネスを成功させたい」「スキルアップしたい」「コミュニケーションスキルを高めたい」と思っているのであれば、ぜひ「感動力」というコミュニケーションスキルを身に付けて下さい。
感動力を身に付けると人の心の奥底を揺さぶることができます。
したがって、あなたの提供する商品やサービスやブランドのファンが増えて、ビジネスシーンでの成功につながります。

では、その「感動力」を身に付けるためのメソッドとは具体的にどんなものなのか、さっそく読み進めていきましょう!

 

はじめに
プロローグ
第1話 ビジネスを変える共感パワー
なぜ、想いが伝わらないのか?
ファンを生み出す共感型表現力
IOC委員を土壇場で動かした三つの法則
一気に売り上げを3倍にした「感動力」

 

はじめに

アリーナを埋め尽くす3万人の観衆。
すでに最高のボルテージであなたの登場を待ち構えている。
静かにステージに立つあなた。

ピアノが静かに始まり、会場は水を打ったような静けさ。
あなたが歌い始める。
一人一人の大切なファンに向け、魂を込めた一曲を歌い終える。

ホールが鳴り止まぬ拍手と歓声に包まれる。
会場の全員があなたのトリコとなり、CDや関連グッズが飛ぶように売れていく。
 
これがたとえば、新商品のプレゼンだったらどうでしょうか?
スティーブ・ジョブズのプレゼンがこれに近いのかもしれません。

語り手の感動が聴き手に伝わり、商品やブランドへの愛着につながっていく。

アップルの例に限らず、たとえば初めての商談、企画プレゼン、採用面接、お見合いなど、「人の心を動かす表現力」が求められる場面は少なくありません。

小手先のテクニックやノウハウにどっぷり浸かった現代のビジネスマンにこそ、人の心を奥底から揺さぶり、インスパイアする表現力が必要なのです。

私はかつて、一部上場企業でマーケティングの仕事をしながら、演劇の俳優をするという二足の草鞋の経験から、演劇で観客に感動を届けるやり方とビジネスの成功には、大きな関連があることに気づきました。

実際に当時所属していた企業の、セールスと商品開発の現場に演劇の感動創造手法を導入することで、売り上げ125%、利益300%アップ、推定300億円の驚異的な業績アップに貢献しました。

世の中に目を転じてみても、好況不況にかかわらず、感動したい人多数、感動させたい人少数という状況が続いており、「需要過多供給不足」の巨大なマーケットが存在しています。「満足」の次の指標、それはまぎれもなく「感動」なのです。

2020年の東京五輪&パラリンピックが決まり日本中が沸いた日から、日本人の反応は大きく二つに分かれたと言われています。

2020年までの7年間を「プレイヤー」として過ごすか、「傍観者」として過ごすかの二つです。

プレイヤーとして過ごそうと決めた人は、自分のビジネスとオリンピックをリンクさせる準備を始めています。

戦後の焼け野原から立ち直ったかつての日本人のように、長引くデフレと震災の傷から立ち上がる最高のチャンスを迎えたと、毎日をワクワクしながら過ごしています。

「傍観者」の立場を選んだ人は、我関せずの同じ日常を過ごしています。

1年後、3年後、そして7年後、その選択がどれだけの違いをもたらすのか、あなたはイメージできますでしょうか?

世界から注目される日本という国を、もっともっと元気にするために必要とされるのは、オリンピック開催を勝ち取った最終プレゼンのような、日本人らしい共感型の表現力を磨くことです。

この本では、あなたの仕事や人生において、共感型表現力を発揮しながら感動を生み出す方法を、基礎から応用まで順を追って解説して行きます。

第一話では、コミュニケーション力が向上しない意外な要因について解説します。

そして、オリンピック招致最終プレゼンテーションや世界的ブランド企業が行っている共感型表現力の秘密について紹介します。

第二話では、「感動マジックの種明かし」として、あなたが感動を生み出すために必要な、感動のメカニズムとドラマの法則について解明して行きます。

いくつかの視点移動で、日常が非日常に変わって行く変化に驚くことでしょう。

そして、第三話から第五話までは、感動のつくり方の具体的ノウハウ「メイクドラマ三点セット」について学んでいきます。

心の時代と言われる21世紀のビジネス環境をリードするには、これまでのような「戦略」「戦術」「戦闘力」などの戦争用語ではなく、「物語」「演出」「演技力」等のドラマ用語を充分に活用する必要があります。その極意について解説します。

第六話では、あなたが日常の持ち場で感動を生み出して行くための心のスキル「感動の鏡を磨く方法」について紹介して行きます。

感動が、特別な人だけの特権の時代は終わりました。

ザ・リッツ・カールトン・ホテルの元経営者、ホルスト・シュルツは言いました。

「感動を偶然や個人の能力だけに頼ってはいけない。サービスは科学なのだから」

私は次のように提案します。
「感動を才能や芸術家だけに任せてはいけない。感動はスキルなのだから」
 

感動のメカニズムを解明しながら、誰もが感動力を発揮できるようになるメソッドを凝縮して閉じ込めました。

コミュニケーションに悩むすべての人に、自分に自信を失った心優しいあなたに、プレゼンの効果的スキルを探して放浪中のビジネスパーソンに、感動あふれる人生を楽しみたいあなたに、そして私自身に、心を込めてこの書を贈ります。

感動プロデューサー 平野秀典

 

プロローグ

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2013年9月8日、
2020年のオリンピック開催が東京に決まった日、
私は言葉に尽くせない感動に包まれていました。

2011年3月11日、
日本という国が体験した未曽有の災害と原発事故。

私の実家が福島県いわき市だったということもあり、
ライフラインが止まり︑風評被害で物資も届かず、
両親や親戚が大変な状況に置かれました。

言葉を使って人を感動させ、
ハッピーエンドを生み出すプロとして、
仕事をしていた私でしたが、

あまりの惨状に励ましの言葉が出てこない
というありえない経験をしていました。

たくさんの歌手が、
歌を歌うことの意味を見失ったように、
私もしばらくの間︑言葉を見失ってしまいました。

時を同じくして、
インターネットの世界で急速に広まっていた

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて、
世界中から愛の言葉が続々と日本に集まり始めていました。

言葉を見失っていた私は、
むさぼるようにその言葉を読み、感謝しながら、
世界中から届くエールを糧に立ち上がる人たちを目撃しました。

言葉の限界を知り、言葉の可能性も同時に知った私は、
再び言葉を使い始めることができるようになりました。

そして、2年半後の2013年9月8日、
東京にオリンピック開催が決まりました。

世界へ向けた日本人のプレゼンテーションが、
IOC委員の心をつかみ、
2020年への大きな機会と希望を勝ち取りました。

日本に起こった危機と、
日本にやってくるオリンピックは、
きっとつながっているのだと私は思います。

戦後の廃墟からも立ち上がった日本人が、
今また震災の傷と長引くデフレから
立ち上がろうとしているのだと。

世界の人たちへの道標となるような志を
日本が見せようとしているのだと。

人は、感動で動きます。

どんなに辛いことや
消えてしまいたいことがあったとしても、

一つの感動体験でもう一度前を向いて
歩き出そうと思うことができます。

たった一度の涙を流すような感動体験で、
上を向き、忘れていた青空の美しさを
思い出すことができます。

人として生きる喜びを味わい、
困難をも乗り越える感動が持つ力は、

きっとあなたの人生というステージを
明るく照らすスポットライトになるでしょう。

あなたが感動を生み出す人になることで、
100万回のハッピーエンドを生み出しましょう。

イッツ、ショータイム!
新しいステージの幕が上がります。

 

第1話 ビジネスを変える共感パワー

なぜ、想いが伝わらないのか?

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21世紀に入り、インターネットという情報伝達手段が一気に発達し、遠く離れた人たちと、いつでもどこでも連絡が取れる便利な時代になりました。

それなのに私たちは、コミュニケーション上の悩みが絶えません。
 
もっと表現力があったらいいのに──。
自分の想いが伝わらないのがもどかしく悔しい──。
 
伝えたいことをうまく表現し、相手に伝わる能力への渇望は、今に限らずいつの時代も関心の的になっていました。これまでに、世界中でいかに多くのコミュニケーションに関する本が出版され、セミナーが行われてきたかを考えればわかります。

繰り返し関心の的となるという意味では、ダイエットの方法と共に、おそらく人類永遠のテーマ(謎?)なのでしょうか。
 
なぜ、想いが伝わらないのか?
 
うまくいかないダイエット法の典型的な例が、一時的に痩せることが目的になって、痩せた後に継続できるノウハウが乏しいものです。

いったん痩せても、すぐにリバウンドしてしまい、また新しい方法を探すことの繰り返し。

それはそれで、ビジネス的には好都合なのかもしれませんが、答えを求めてさまようダイエット放浪者を生み出してしまいました。
 
コミュニケーション力を高めようとして、付け焼刃のテクニックを覚えて、一度や二度はうまく行っても、継続的に使えないやり方は、リバウンドしてしまうダイエット法のようなものです。

テクニックでも、継続的に使えるものであれば何も問題はありませんが、情報があっという間に拡散してしまう現代では、即効性があるものほど、賞味期限が短くなってしまうというジレンマに陥ります。

そして何よりも、相手を操作するようなノウハウを使えば使うほど、本来のコミュニケーションとはかけ離れていってしまいます。
 
なぜ思いが伝わらないのか?
 
そのもう一つの理由は、次のアインシュタイン博士の言葉に、大きなヒントがあります。
 
どんな問題も、
それが作られたときと同じマインドセットで
解決することはできない。

マインドセットとは、意識やものの見方という意味でとらえてください。

たとえば、何かを買うとき、誰かに説得されて買いたい人はいないと思いますが、営業研修などでは、「説得力」を強化するプログラムを導入します。

その時点ですでにマインドセットがずれていますから、コミュニケーションの問題は解決不能な次元へと向かってしまいます。
 
誰かに説得されてモノを買って、後で後悔した経験は誰もが持っています。
 
人は、説得されたいのではなく、納得したり、共感したり、感動して心が動いた結果、モノを買いたくなるのです。

「感動」という言葉はありますが、「知動」「理動」という言葉がないことからもそれがわかります。

すごいノウハウを外から身に付けて「人を説得して動かす」というマインドセットではなく、自分の表現力を内側から磨き「人が感動して動き出す」という新しいマインドセットに切り替えることで、コミュニケーション上の問題を劇的に解決できるようになります。

あなたが、仕事に成功し、人生を豊かに生きたかったら、一日も早く、人の感情を動かすことができる専門家に学ぶ必要があります。

継続性があるダイエット法については、その道の専門家に託しますが、伝えたいことが伝わり、継続的に感動を創り続けるコミュニケーターは、実は意外なジャンルですでに存在しています。
 
*そのジャンルの人たちは、初めて会った人に、わずか数分で信頼をされて、別れ際には、深い感動すら提供してしまいます。

*たった一度の出会いで、何度もリピートするファンを生み出し、多くの人に影響を与え、人をインスパイアするという、魔法使いのようなこともできます。

*魔法使いは、人前にその正体を現さないのが常識ですが、そのジャンルの人たちは常に人前に姿を現します。

現代の魔法使いの正体はわかりましたでしょうか?

正解は、「アーティスト」です。

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何千人、何万人というコンサート会場でも、歌の力だけで一瞬で観客の心を動かすアーティスト。

人に影響を与え、インスパイアするアーティスト。

音楽では、デジタル音源が主流になり、映画や演劇では、映像技術が発達し、劇場に足を運ばずして楽しめる世の中になっても、ライブコンサートや演劇はなくなりません。

便利さ不便さで比べたら、とっくになくなっていていいエンターテインメントなのですが、なくならないどころか、最近では逆に活況を呈しています。
 
なぜでしょうか?
 
その現場には、ある種の「魔法」が存在するからです。

人を惹き付け、時間とお金と体力を使ってでも、そこへ行かせてしまう魔法。
魔法には、呪文がつきものです。

どんなに時代が変わっても、どんなに技術が発達しても、継続的に感動を生み出し続ける魔法使いたちが使う呪文があります。

私が演劇を通じて一流のアーティストから学び実践する中で、ビジネスの現場においても、文字通り「劇的な」効果を発揮した呪文は次の6つです。

*標準装備
*共演者
*二人称シフト
*メタファー
*コントラスト
*恩贈り

ちなみに、この本で使う「劇的」とは、「ドラマティック」という意味の劇的です。

激しい変化というイメージでとらえる人が多いのですが、それは「激的」という言葉になり、日本語にはありません。

英語では「ドラスティック」という言葉になり、「過激な」という、文字通り過剰な激しさを意味します。

劇的(ドラマティック)とは、本来「演劇的」なストーリーがあり、ドラマがあり、感動的な何かという意味で使われます。

したがって、ジェットコースターのようなドラマだけでなく、静かなドラマも心温まるドラマも、「劇的」の範疇に入ります。
 
誰にでも使え、仕事とあなたの人生を劇的に変える表現力の魔法。

これから一緒に、魔法の呪文の意味と効果を一つずつ理解し、感じて、腑に落として行きましょう。

 

ファンを生み出す共感型表現力

情報や商品の選択肢が増えた今、共感できない人がどんなにいいことを言っても伝わらないし、共感できない企業の商品は買わないという人が、どんどん増えています。

経営にも、営業にも、製品開発にも、管理職にも必須となった、共感されながらモノを豊かに表現する力。

SNSが急速に発達し、デジタル情報が洪水のように押し寄せる中、人は本能的に体温のあるつながり感を求めるようになっています。

共感される表現力は、デジタルな時代だからこそ必要とされる、アナログで人間的な能力です。

ビジネスにおいても、操作系のテクニックで人を動かすのではなく、共感型の表現力で人の心を動かすアプローチが、かつてないほど求められています。

では、共感型の表現力とはどのようなものなのでしょうか?
 
SNSで、あるお医者さんが、「病は気からを実践して、一人一人に気持ちを込めて注射をしていると、痛みの改善や病気の治癒も不思議と変わってくる」と発信しました。すると、共感した別のお医者さんが「私も午後の診療に気を込めます」とコメントし、このやり取りを見ていた多くの人へ、医療従事者のあるべき姿が、音叉が共鳴するように伝わっていきました。
 
通販で買い物があり、電話で注文したところ、支払方法の話になり、先方の担当の女性が、「お寒いですので現金引換えではいかがですか?」と提案してくれました。季節は寒い冬でした。振込みでは寒い外へ出なければならないからという心遣いを、そのように表現してくれたその店のファンになってしまいました。担当の女性は、お客さんの状況に共感できたことによって、お客さんから共感され、店のファンを生み出しました。
 
共感され、心をエンゲージメントする(つなげる)表現力を、私は「感動力」と名付けました。

伝わる表現力× つながる共感力= 感動力

二つの力の相乗効果は、仕事に感動を生み出すだけでなく、あなたの人生を根底から変え、豊かさをレベルアップさせる夢のようなパワーを持っています。

景気、人気という言葉のように、経済も人も「気」=「気持ち」=「感情」で動きます。これまでのビジネスや経営やマネジメントの成功の裏には、「感動力」という能力の存在があったはずだと私は思っています。

能力を計る指数が「IQ(知能指数)」だけだった時代から、「EQ(心の知能指数)」という言葉の出現により、ビジネスにおけるヒューマンスキルの重要性が一気に高まったように、「感動力」という言葉が広まるにつれて、世界のビジネスが人間性を加味した、より良い方向へ向かうことを心から願っています。

感動力を使うと、仕事はどのように変わるのでしょうか?

経営者が「感動力」を使えば、部下や顧客が会社の「ファン」に変わります。
製品開発者が「感動力」を使えば、これまでにないヒット商品が生まれます。

営業パーソンが「感動力」を使えば、リピートと紹介が圧倒的に増えます。
あなたが「感動力」を使えば、目の前の商品が、ハピネスを提供する作品に変わります。

 

IOC委員を土壇場で動かした三つの法則

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2020年オリンピックの招致活動で、日本が最終的に開催地を勝ち取った大きなきっかけになったと言われる投票直前の最終プレゼンテーションも、感動力が成し遂げた画期的な出来事でした。

わずか45分間で、経済効果3兆円とも150兆円とも言われるビッグチャンスを生み出したプレゼン成功の秘密は、ビジネス的にも大変興味深い題材です。

どのような要因が、IOC委員の心に響き、共感や感動を生み出したのか?

そこには、感動を生み出す表現力の三つの法則が、しっかりと機能していました。

① 自分自身を演じ切る
② 意外性のある三幕構成
③ 人を前面に出す

—自分自身を演じ切る—

映画や演劇の役者は、自分ではない他者を役として演じるのが仕事です。

役者以外の人たちは、他人を演じることは日常的にはないはずですが、実際には、自分ではない人を演じてしまうことがあったりします。

良かれと思って、オーバーアクションで必要以上に大げさな表情やポーズを作ってしまう人、自分が憧れている人の真似をしようとして不自然な振る舞いをする人。

それではいつまでたっても、自分自身の本当の魅力と出会うことはありません。
自分ではない人を演じるのは、プロの役者に任せておきましょう。

あなたが主人公の人生という舞台で輝くためには、「自分自身を演じ切る」ことが必須の条件です。

オリンピック最終プレゼンの勝因の一つにも、見事にキャスティングされた日本のプレゼンターたちの「自分自身を演じ切った」パフォーマンスがありました。

プレゼンター一人一人の個性を活かした表現スタイルは、イギリスの敏腕プロデューサー、ニック・バーリー氏によるものだったと言われていますが、私は少し違う見方をしています。

もちろん、ロンドン、リオと二つの五輪の誘致を導いたバーリー氏の手腕は素晴らしいものだったことは間違いありません。

しかし、素晴らしい演劇や映画がそうであるように、演出家と役者のコラボレーションこそが、想像を超える化学変化を起こす最も重要な要因なのです。

フランスの名監督ジャン・ルノワールは、監督の心構えを次のように語っています。

「私がやっていることは、管理することではない。監督というのは産婆だ。俳優はその内面に何かを持っているのに気づいていない。そういうときに教えてあげるのが監督だ。俳優が自分自身を見つけるのを手伝ってあげるのが監督の仕事だ」

最終プレゼンのテーマは、「東日本大震災からの復興に寄与するスポーツの力を情熱的に訴えること」でした。

漏れ伝わるところによれば、日本人のプレゼンターたちは、西洋式の強く感情に訴えるやり方には、あまり乗り気ではなかったようです。

不慣れなオーバーアクションと気持ちの悪い笑顔でプレゼンをやってしまうと、海外映画に出てくる怪しい日本人のようになってしまいます。

それでは、IOC委員たちの想定内で意外性がありません。

男性プレゼンターはやや大きめのアクションを付けていましたが、女性プレゼンターは終始、自然なボディランゲージでのスピーチになっていました。

映画や演劇の役者の世界では、二流三流になるほど、余計な動きが増えて、騒々しいだけのパフォーマンスになります。

形だけのオーバーアクションよりも、心のこもったハートアクションが、国や文化を超えて観客には伝わっていきます。

人が自然体で話している時、聞き手はその話を安心して聴ける状態になります。

裏に何かありげな不自然な話し方では、そのまま相手の聞き方にも共鳴して作用します。

日本のプレゼンターたちが自然体で話しているように見えたのは、それぞれ「目の前の大切な一人に話しかけているような語り方」だったからです。

プレゼンの前に登壇され、東日本大震災支援への感謝の言葉を伝えられた、高円宮妃久子様、プレゼンの第一走者を担った佐藤真海さんも、まさにそのような伝え方でした。

これは、不特定多数の大勢に伝えるのではなく、目の前の大切な人にフォーカスして伝えるという、アーティストやプロの表現者が行う表現方法です。

たった一人に刺さることで大勢に伝わっていく魔法のトークメソッドは、第三話で「二人称シフト」として、「自分自身を演じ切る」については、第五話でさらに具体的に取り上げていますので参照してください。

—意外性のある三幕構成—

二つ目の要因は、共感力に満ちたストーリーの出来映えでした。
ストーリー構成は、三幕構成が採用され、飽きさせないリズム感がありました。

高円宮妃久子様とパラリンピアン佐藤真海選手が第一幕とすれば、竹田恒和・招致委理事長と水野正人招致委副理事長、猪瀬直樹東京都知事までが第二幕。滝川クリステルさんと太田雄貴選手、安倍首相が第三幕という展開になっていました。

感動的なプレゼンテーションには必ず、マジックモーメント(魔法の瞬間)という予想外の心をぐっとつかむ瞬間があります。

魔法の瞬間を生み出す仕掛けは、相手が抱いている期待やイメージを「活用」することから始まります。

ストーリーの仕掛けでは、第一幕に意外性のあるマジックモーメントが用意されていました。

「伝統的」「男性主導」という従来の日本のプレゼンテーションのイメージを「活用」し、それを覆す皇室の高円宮妃久子様の登場という「上質な意外性」という演出をシーンに込めたのです。

「皇室がこのように話をするのは初めてです。皆さんも驚かれているかもしれませんが、私も驚いています」

日本のプリンセスは、凛としたクイーンズイングリッシュと達者なフランス語で、感謝を忘れない日本人の心を伝えました。

皇室への注目や尊敬の念を持つ欧州の人たちへ、これから始まるプレゼンがいかに特別なものになるかという期待感を抱かせる抜群の効果がありました。

プレゼンターのトップを担ったのは、輝く笑顔で登壇したパラリンピアン佐藤真海さんでした。

19歳のときにがんで片足を失い、震災の津波で実家が被害を受けたという、想像を絶するつらい体験を乗り越えた「自分自身のドラマ」を、ヒロインとして自然体で演じ切りました。

スポーツの力は、挫折と絶望を乗り越えられること。

オリンピックが日本で開かれることの必然性を、東日本大震災を乗り越えようとしている日本という国にたとえ、高い共感力を持って表現しました。

当初、震災色を強く打ち出しすぎないようにしていた招致委員会の方向性をも変えたのは、自ら書き換えたと言われる個人の体験を紡いだ言葉でした。

女性が二人続けて登壇したこの時点で、会場の空気が明らかに変わりました。

第二幕では、竹田恒和招致委員会理事長のリーダーシップにあふれたプレゼンから始まり、水野正人副理事長のビッグスマイルと日本人離れしたパフォーマンスは(実は普段も変わらない姿だという)、オーバーアクションなのに嫌みがないという意外性を持って、中盤のドラマを盛り上げてくれました。

猪瀬直樹東京都知事の財政とインフラを保証するプレゼンは、全体のバランスの中で、東京開催というリアリティをイメージさせる重要なシーンを担いました。
 
そして第三幕は、会場を魅了する笑顔で登場した滝川クリステルさんから始まる、ヒロインとヒーローの華やかな共演という構成。

スポーツのヒーローとして登場したフェンシング太田雄貴選手の日本の武士道に通じるような凛とした情熱あふれるプレゼンの後、政治の「ヒーロー」として登場となった安倍首相が、決め台詞「アンダーコントロール」を堂々と宣言し、三幕のストーリーは完結しました。

英語の発音や内容の是非ではなく、ストーリー構成の観点から見れば、海外メディアが絶賛した今回のプレゼンの勝因が見えてきます。

映画や演劇でも用いられる三幕構成の流れは、記号で表すと「?」「!」「〜」の三つになります。

今回のプレゼンも、予想を覆す「おや?」から始まり、現実感と未来への希望あふれる「まあ!」につなぎ、納得感の「へえ〜」に収まる、見事な三幕構成のストーリーが展開されていました。
 
招致プレゼンに限らず、普段のプレゼンやセールス、商談や面接などの場面でも、この意外性を持った三幕の展開は、劇的な効果を発揮します。

三幕構成については、能楽師世阿弥が提唱した「序破急」、ハリウッドの「スリーアクト」というメソッドに絡めて、第三話でさらに詳しく解説します。

—人を前面に出す—

招致を東京が勝ち取るためには、IOC委員たちに絶対に伝わらなければならないストーリー上のテーマがありました。

そもそもオリンピックがなぜ行われるのか?
それがなぜ日本で行われる必要があるのか?
 
この二つの問いに対して、プレゼンターそれぞれの「個人的体験」をストーリーに取り込み、各自がそれぞれの言葉でその答えを伝えていきました。

途中に入った映像も、人を前面に出した作りで、プレゼンターのよき共演者になっていました。

ニック・バーリー氏が招致委員たちに贈ったアドバイスの中で、特に強く共感した言葉があります。それは、

「リハーサル、練習、リハーサル、練習、さらにリハーサル、練習」
 
一流のパフォーマーなら必ずやっている地道な稽古というアプローチを、しっかりと伝えたバーリー氏と、それを真摯に受け止め、愚直に実践したプレゼンターたちがいたからこそ、日本人のDNAと西洋式プレゼン手法が、見事にコラボレーションしたのだと思います。

招致活動の中心となった猪瀬都知事は、最終プレゼンのわずか2か月前の7月に天に召された奥様の遺影をペンダントに収めて、一緒にプレゼンに臨んだそうです。

プレゼンターたちが早めに現地入りして、本番の会場に似せた講堂で一週間以上リハを重ねたといわれるプレゼンは、演じた人それぞれの人生というストーリーも加味して観客の感情に訴え、IOC委員たちの共感を勝ち取ったのです。

そして、世界注目の場で、大人たちが全力で想いを伝えた姿と、決定の瞬間に歓喜を爆発させた姿そのものが、子供たちに未来への希望と夢を与えたことでしょう。

 

一気に売り上げを3倍にした「感動力」

表現者(アーティスト)には、二つのタイプが存在します。

自分の好きな仕事に没頭し、感動的な作品を生み出すために、時間を気にせず創り続ける文字通りの「芸術家」

もう一つは、需要と供給の関係の中、商業ベースで感動的な作品を生み出す「ビジネスアーティスト」。

ビジネスパーソンが、伝わる力を高めるために参考になるのは、もちろん後者のタイプです。

商品に限らず、部下への指示、商品説明、面接、恋愛、連絡事項等、伝えているつもりで伝わっていないというトラブルは、「感動力」を高めることで一気に解決する可能性があります。

楽天EXPOというイベントで、東京、大阪、札幌、福岡と全国四か所の会場で講演するゲスト講師の依頼を受け、講演をしたときのこと。

皮切りの東京会場では、P&Gの元グローバルマーケティング責任者のジム・ステンゲル氏の講演から始まりました。

世界最先端のブランド理論のスピーチでしたが、その後に講演する私のコンテンツと多くのことがシンクロしていて、私も、両方受講した参加者も、本当に驚きました。

そのスピーチの中に何度も出てきた言葉。

「情緒」
「アーティスト」
「感動」

実績を上げているブランド企業には、必ずビジネスアーティストがいるとのこと。

他者へ影響を与え、感動を生みだし、技術を革新し、ビジネスを作品に昇華させるのが、ビジネスアーティストの仕事。

P&Gの主力商品であった紙オムツ「パンパース」の売り上げが低迷していたとき、売り上げを3倍にしたというコマーシャルのエピソードが印象に残っています。

吸水性、乾燥性に絶対の自信を持っていたP&Gは、その品質を前面に出した広告展開をしていました。

しかし、新しくプロジェクトに加わったビジネスアーティストたちは、世界中のお母さんたちにインタビューした結果、新しいコマーシャルを生み出しました。

それは、静かな讃美歌が流れる中、パンパースをつけた赤ちゃんがすやすや眠る映像がただ静かに流れる一本のCM。

キャッチコピーは、「赤ちゃんのアイデアに基づき、パンパースが作りました」
 
このCMによって、世界中のお母さんたちは、P&Gが自分たちと同じ価値観を持った企業だと共感したのです。

吸水性や乾燥性も大切ですが、もっと大切なのは、赤ちゃんがすやすや眠れるかどうかだったのです。

これまた、共感型感動が生み出した奇跡。
アーティストは、ファンに向けて、オリジナルなギフトを継続して贈ります。

作品の魅力が人の心を動かすように、商品やサービスの魅力が人の心を動かし、お客様の笑顔を生み出すために、伝わる力に秀でた「ビジネスアーティスト」は、心の時代と言われる21世紀に生きる企業に、必須の存在になってきています。

あなたの会社には、ビジネスアーティストはいますか?
その人は、きちんと評価されているでしょうか?

もしあなたが、ビジネスアーティストになりたければ、朗報があります。

それは、ビジネスアーティストになるために必要な才能は、人間であれば、もれなく標準装備されているという事実です。

あなたが内側にある才能に気づき、本書で感動力を磨く方法を学び実践すれば、優れたコミュニケーターになれるだけでなく、残りの人生が感動にあふれた毎日に変わるのです。

サッカー日本代表が2014年W杯出場を決めた日、渋谷スクランブル交差点に殺到する若者たちを見事に仕切って、警視総監賞を受賞したDJポリスのように、個人の個性を活かした活躍が、SNSを通じてあっという間に広がる時代になりました。

人が、自分自身をオリジナルコンテンツとして、ギフトを生み出す表現力を磨くことが、これまで以上に求められる素晴らしい時代に入ったのです。

 

D r a ma t i c P o i n t

●人は説得されるより共感したい
●最強の自然体
●最高のストーリーは「人」
●ビジネスアーティストはブランドを創る
●人は自分自身がオリジナルコンテンツ

平野秀典著『100万人の心を揺さぶる 感動のつくり方』より抜粋

【書籍紹介~目次】

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『100万人の心を揺さぶる 感動のつくり方』

 

はじめに
プロローグ

第1話 ビジネスを変える共感パワー
なぜ、想いが伝わらないのか?
ファンを生み出す共感型表現力
IOC委員を土壇場で動かした三つの法則
一気に売り上げを3倍にした「感動力」

第2話 感動マジックの種明かし
あなたの中にある感動を生み出す力
人生を舞台(ステージ)ととらえる
魔法の呪文「キョウエンシャ」
感動の方程式とは?
幸せを呼ぶ金のタクシー
メイクドラマ三点セットとは?

第3話 物語力で感動を生み出す (Story)
なにものにも負けない「物語のチカラ」
魔法の呪文「二人称シフト」
奇跡を呼んだセールスレター
スリーインパクトであの人の心に刻む
すべてをラストシーンから始める
キャスティングで変わるストーリー

第4話 演出力であなたの魅力を最大化する (Produce)
自分を演出する伝説の技
最強の演出法「メタファー」
削ることで輝かせる引き算演出法
魔法の呪文「コントラスト」

第5話 演技力であなたをバージョンアップさせる (Performance)
未来を引き寄せる演技力
表情筋の悲劇
「自分自慢力」を磨け
人生が変わる声のレッスン

第6話 持ち場を輝かせるための心のスキル
感動の鏡を磨く方法
感動とシンクロニシティ
2000人のスタンディングオベーション
魔法の呪文「恩贈り」

エピローグ
追伸

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